第34章 お仕置きっス
「そうだけど?」
「可愛いです…」
「へ?」
「か、髪下ろしてると雰囲気変わりますねっ」
いつもは高い位置でポニーテールにしてるから、多少キリッとしたイメージが強いものの、今日の紫苑は柔らかい印象だった
「あ、ありがとう」
はにかんだ顔がいつもより優しくふわっとみえる
(はぁ西園寺さんて、本当綺麗)
(ため息でちゃうよね)
(目の保養になるなぁ)
(俺十二番隊に入ってよかった…)
「こら噂に聞いてたとおりエライべっぴんさんやなぁ」
随分と幼げな声に隊員たちが目を向ける
「あなただあれ?」
目線を合わせて屈む
阿近と同じくらいか、少し大きいだろうか
「ボクは市丸ギン。五番隊の三席になったんや、よろしゅう」
「あら、じゃあ平子隊長のところね」
綺麗な銀髪…
三席って…凄い…
「なァ君、名前なんて言うん?」
「私は西園寺紫苑よ」
「紫苑ちゃんかー可愛エェなぁ」
ギンの手がスッと紫苑の黒髪をとく
さすがに、子供に拒絶反応はでないようだ
「なァ、ボクの彼女さんになってや」
途端頬に小さな唇が触れた
「っ!」
ギンのその行動に周りの隊員たちも驚きを隠さない
(あんのくそガキ!)
(俺たちの西園寺さんを)
「なァええやろー?それとも誰か、彼氏さん居るの?」
「あのね、ギン…」
「おい、ガキが気安く紫苑に触ってんじゃねーよ」
紫苑の首に両腕を回し始めていたギンは、引き剥がされるように離れていく
「なんや君かてガキやんか」
「阿近…」
「紫苑は俺の女になるんだよ」
紫苑とギンの間に立ち塞がるように阿近がいる
「納得いかへんなァ…紫苑ちゃん、なんでこないなチビやねん…」
「いや、違うんだけど…」
すっごいカッコいい台詞言ってる阿近には悪いけど、私と阿近てのはやっぱり無理があるんじゃないかな…