第4章 恋人はいますか?
午後になり、隊舎に行くと最初にひよ里さんに会った
「琴乃!紫苑!」
「おはようございます、ひよ里さん」
「昨日は途中ですみませんでした…」
紫苑は途中で帰ってしまったことを詫びた
「気にせんでええよ。それより無事やったか?」
「え?はい、特に何もないですけど」
「そうなんか?真子が喜助に頼んだとき、やっぱウチが止めとくべきやったって後悔しとったんや。紫苑、喜助に襲われへんかったか?」
紫苑の頬は一瞬で赤くなって
「だだだ、大丈夫でしたよ!さっ琴乃いこ!」
紫苑は言い逃げに近い勢いで、隣の琴乃の腕を引っ張りその場から逃げ出した
「アカンわ…絶対なんかあったわ…」
しばらく走った二人は少し息を整えたところで、琴乃が話し始める
「紫苑急に走らないでよ!」
「ごめん…」
「めちゃめちゃ動揺してるじゃん!そんなんで大丈夫?」
そこに1人の人影が現れた
「あら、琴乃ちゃんに紫苑ちゃん」
「沙也加さん!」
「昨日はすみませんでした…」
「いいのよ、それより…」
「はい?」
沙也加は何か言いたげな顔をしている
「昨日はちゃんと帰れた?」
「あ、はい浦原隊長に送っていただいて」
「そう、無事に帰れたのね。何もなかった?」
沙也加さんは、何か知ってるような…意味深な言葉を言ってきた
「な、何か…とは?」
「そうね…例えば隊長と一緒に寝……」
「あ、私たちもう始まるので、失礼しますね!」
今度は琴乃が紫苑の腕をとり、走り始めた
「ちょっと琴乃!」
「沙也加さんは浦原隊長が好きなんだよ!知られたらヤバイって」
「そ、そうだよね…」
と、そこにまた1人、人影が現れた
「紫苑サン、琴乃サン」
「あ、浦原隊長、おはようございます」
紫苑の胸はドクンと波打ち、顔が熱くなっていくのを感じた
「お、おはようございます…っ」
「遅刻しなかったんスね、えらいえらい」
喜助は紫苑の頭にポンポンと優しく手をのせる
琴乃は紫苑のことをよく知っている