第4章 恋人はいますか?
「うわ、大胆」
琴乃の言葉に紫苑は何も言えず顔を真っ赤にする
「でも全然覚えてなくて…」
「紫苑記憶なくすの珍しいね。浦原隊長に変なことされてない?」
「それは、多分…大丈夫だと思う」
琴乃は安堵のため息をついて
「それは良かった。浦原隊長って女遊び激しくて、すぐ手出すって聞くから」
「やっぱ浦原隊長ってモテるよね…」
紫苑はシュンとしてしまった
「あ、でも恋人は面倒で作らないらしいけど、今生まれて初めて気になってる人がいるって言ってたの」
「ふーん。で、紫苑は隊長が好きなの?」
すると紫苑は黙り込んでしまった
慌てるわけでもなく、頬を赤らめるでもなく
「…ねぇ琴乃。好きってどんな感じかな…」
そうだ、紫苑は恋という感情を知らないんだった
「浦原隊長といると私、ドキドキして、うまく話せなくなって、胸が苦しいの」
紫苑のこんな気持ち、初めて聞いた
嬉しいような、ちょっと寂しいような、そんな気持ち
「紫苑…それがきっと好きって気持ちだよ」
「これが…好き…?」
「紫苑の初恋だね!」
「は、初…っ」
#NAME4は#赤くなる紫苑の頬をツンとつつくと、満足そうにニヤニヤと笑った
「あ、ねぇ琴乃」
「なぁに?」
「私ね、お父様の夢を見たの。お父様が、一緒に寝てくれる夢」
琴乃は少し驚いて、紫苑に対して向き直った
「旦那様の…」
「それでね、朝起きた時隣に浦原隊長が居て…私、隊長が…お父様に見えたの」
琴乃は少し考えるような素振りを見せる
「もしかして、浦原隊長が一緒に寝てくれたから、お父様が一緒に寝てくれる夢を見れたのかも…琴乃はさ、浦原隊長がお父様に見えたこととか、ある?」
「いや、ないけど…でも言われてみると、旦那様と隊長ってなんか少し似てるかもしれない」
「やっぱり?どこがってわけじゃないんだけど…」
「なんだろ、雰囲気とか仕草とか、なんとなくね」
共感して貰えて満足した紫苑は、徐々に出隊の準備を始めた