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With me

第33章 喜助さんの話しないで



紫苑の顔を少しだけ上に向けると、喜助は両手で紫苑の頬を包み、唇に自身の唇を重ねた

何度か舌を出し入れするように、口の中のモノを全て紫苑へと注ぎ込んだ

紫苑は一瞬目を見開いたが、とめる力もなくされるがままそれを受け入れた

紫苑の喉がゴクンとなるのを確認すると、喜助は紫苑の頭をなでた


「…もぅ」



照れる紫苑を見て喜助はニヤニヤしている


「ボクちょっと研究資料取りにいきたいんスけど…少しの間1人で大丈夫っスか?」

「大丈夫…」

「…紫苑」

「なぁに?」

「この手は…」


大丈夫と言ったにも関わらず、紫苑の手は喜助の羽織の端をつかんでいた

紫苑はすぐに手を布団の中へしまうと、喜助に背を向けた


「行ってほしくないなら素直に言ってくださいよ」

「大丈夫だから行って」


行けるワケないじゃないスか…

背中に行かないでって書いてある


「紫苑…」

「……」


紫苑は小さな肩を奮わせながら小さな声を絞り出した


「行かないで…」


胸がぎゅうっと締め付けられた

背を向けたまま呟く紫苑を、喜助は無理やり自分のほうへ向けた

うるっとした目が喜助を見つめる

喜助は寝ている紫苑に覆い被さるように、優しく抱き締めた


「行かないよ…」

「え?」

「そんな可愛いこと言われたら、行けるわけない…」

「でも用事…」


すると喜助は伝令神機を取り出し、どこかへ電話をかける


「あー涅サン、あの件なんですが……はい……はい……お願いしますね」


プチッと通話を終わると、紫苑と目を合わせてニコッと笑った


「いいの?」

「いいんスよ」


ケホッゲホッ……


苦しそうに紫苑が咳き込む

背中をさすると、目をぎゅっと瞑って呼吸を整える


「寝てていいっスよ」


頭を撫でると力をいれていた目が緩んで、そのまま寝息をたて始めた


早く良くなりますように…


「喜助ー、紫苑どや」


全く入室禁止の札は全然意味がないっスね

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