第33章 喜助さんの話しないで
終業の鐘が鳴ると同時に私は席を立ち、喜助さんの元へ向かう
意識を集中させると、今も局にいるみたい
ちなみに霊圧で探ってみるとやっぱり分からなかった
私もまだまだ鍛練しないとなぁ
「喜助さん!」
「紫苑、どうでした?」
今日1日ソワソワして落ち着かなかった
阿近の報告でも無事なのは分かっていたし、実際に今ここに、ニコニコと笑顔で向かってくる紫苑を見たら結果はなんとなくわかる
「全然平気だった!本当に喜助さん凄い!」
「良かった…紫苑、よく頑張ったね」
ぎゅうっと抱き締めると、苦しいと笑いながら背中を叩く紫苑
「明日、卯ノ花隊長に報告に行こうか」
「うん!」
嬉しそうな紫苑
それだけで報われる
ボクは紫苑のために生まれてきたんじゃないかとさえ思う
「先に帰ってるね」
「気をつけて」
喜助さんはまだ研究があるからと、局に残った
喜助さんと現世に行ける…
デートになるかは分からないけど、あの約束から約1年
楽しみで仕方なかった
…─
翌日……─
私は喜助さんと一緒に四番隊に来ていた
「なんかここに来るの久しぶり」
「良いことじゃないっスか」
隊首室で卯ノ花隊長を待つ
「紫苑さん!浦原隊長」
「勇音さん!久しぶりね」
「こんにちは、虎徹サン」
勇音さんはいつからか私を下の名前で呼んでくれるようになった
「元気でした?ウチに来てないから大丈夫そうですね」
「おかげさまで!」
「浦原隊長とも順調そうですね、ふふ」
紫苑が顔を赤くすると、喜助はヘラヘラニヤニヤと顔を緩ませる
「遅くなってすみません」
「卯ノ花隊長!」
「西園寺さん、調子が良さそうですね」
ニコッと笑う卯ノ花隊長はやっぱり素敵
「できたんですね」
「えぇ、これです」
喜助さんは昨日私に飲ませたものと同じ丸薬を、卯ノ花隊長に見せる