第33章 喜助さんの話しないで
能動的に喜助さんに抱きつく
「大丈夫だといいっスね」
…─
十二番隊舎─
通常業務に戻った紫苑は机に向かって、書類の整理をしていた
副作用が出ないか内心ビクビクしながらも、期待に胸を膨らませていた
「随分ご機嫌だね、紫苑」
「そういう琴乃こそ。平子隊長とは上手くいってるの?」
「なっ、そ、そういう話はいいから!」
「今までのお返しよ」
恋をしている琴乃はからかいがいがあって可愛い
「ていうか本当に発信器つけるなんてね」
「うん、あとねさっき喘息の新しい薬も飲んできたんだ」
「そうなの?大丈夫?」
以前の強烈な副作用を見ているからか、琴乃は心配で仕方なかった
「今のところはね。これが大丈夫だったら現世に連れていってもらえるの」
「本当!?やったじゃん!絶対大丈夫だよ!」
まだ決まったわけじゃ…と言う紫苑に目もくれず、琴乃は喜びの声をあげる
こんなに喜んでくれる親友がいる
幸せすぎて、おかしくなりそう
キィ─と執務室の扉があく
「紫苑、副作用どうだ」
バインダーを持った阿近だった
「ん、調子良いよ」
「良かったな。ちなみに俺も手伝ったんだぜ」
「そうなの?ありがとうね」
ふんわり微笑む紫苑に、技局の鬼がほんのり頬を染めた
「こんなガキんちょにも好かれるなんて、さすが紫苑ねー」
「うるせー…大きくなったら局長から紫苑奪ってやるからな」
「ふふ、楽しみにしてる」
じゃあな、と阿近は執務室を出た
「そんな期待させるようなこと言って、本当に来たらどうするの?」
「どうもしないよ、私は喜助さん一筋だから」
「あーアツいアツい」