第4章 恋人はいますか?
紫苑はされるがままだった
「やっぱり何処かで会ってると思うんスよねぇ。こうやって一緒に寝たことがあるような…既視感というか」
「寝た…?…じゃなくって!なんで浦原隊長がここに?」
「あーぁ、逃げられちゃった」
「ここ私の部屋?私昨日琴乃とひよ里さんと沙也加さんと飲みにいって…」
紫苑は必死に昨日の記憶を探る
「覚えてないんスか?」
「もしかして、浦原隊長が送ってくれたんですか?」
「そっスよ」
「あ、ありがとうございます!…でなんで一緒に寝てるんですか?!」
紫苑は林檎のように赤くなった顔を両手で隠す
喜助はクスクスと笑う
「やだなァ、紫苑サンが行かないでって、言ったんじゃないスか」
「え、私…が?」
「涙目でお願いされたら断れないっスよ。ボクの袖掴んで離さなかったし」
「う、嘘…私…そんなことを…」
紫苑の顔がだんだん青ざめていく
「やっぱり覚えてないんスね。残念だなぁ」
「す、すみません!私、隊長になんてことを…っ」
「気にしないでください。可愛い紫苑サン見れましたし」
可愛いとかそういう問題じゃなくて…と紫苑はふと、自分の衣服を確認した
「あ、心配しなくても何もしてないっスよ」
本当は考えないようにするのに必死だったんスけどね…
「え、やっ、別に…そんなんじゃっ」
あれ、私なんで残念がって…
「で、紫苑サン、誰のことが気になってるんですか?」
「え?私そんなこと言いました?!」
いつ?私が?
もしあるとしたら
昨日…しかない…よね
「うん、昨日ね」
「そそそんなの、言えるわけないじゃないですか!」
紫苑は壁に背がつくまで後ずさる
「気になるなぁ…やっぱり琴乃サンに聞こ」
「だめですだめです!忘れてください!」
喜助は必死になる紫苑を見てクスクスと笑っている
「とりあえず今日は諦めますね」
そう言って立ち上がり衣服を整えた
「今日はって…教えませんよっ」