第1章 この子どこかで…
この斬魄刀は、呪われた斬魄刀と言われていた
清めようとやってくる術師を何人も傷つけてきたらしい
そしてそんな斬魄刀に、私は幼い頃に触れてしまったらしい
私が今もこうして無事なのは、ただ運が良かったからなのか…
それ以来この部屋は術師も入らなくなり、開かずの間と化していた
ただ、夜中目が覚めた時、お母様が此処に入っていくのを何度か見たことがある
「大丈夫だから、触ってみて」
幼い頃触ってどうなったか、記憶にない
なんともなかった、としか言われなかった
恐る恐る紫苑は手を伸ばした
キィンと鳴る金属音
手に吸い付くような感覚
気が遠退く
目を開けると美しい花が咲き誇る空間に居た
「ここは…」
「紫苑様の精神世界ですわ」
そこには、真っ白な薔薇の着物を纏った女性がいた
「あなたは?」
「あなたの斬魄刀ですわ。名前はご存知でしょう?」
「……雪…姫」
眩しい光に思わず目を瞑った
また気が遠退く感じがする
『よろしくお願いしますわ、紫苑様』
遠くでそんな声が聞こえた気がした
「紫苑、大丈夫か?」
「お父…様」
目を開けると両親が居た
「私…雪姫と…」
「雪姫と話したのね。これからきっと、あなたの力になってくれるわ」
私は雪姫をぎゅっと握り直した
「よろしくね、雪姫」
そして私は雪姫を携えて、琴乃と共に霊術院に入学し、5回生になった
そして突然、平穏な空気を割るように声が響いた
「西園寺さん!東雲さん!大変よ!」
同級生の焦った顔、慌てた声
嫌な予感がした
「どうしたの?」
耳を疑う言葉
「あなたたちの家が燃えてるって…」
私と琴乃は目を見開いた
詳細はわからないという彼女に後を任せ、私と琴乃は家に向かった
「うそ…でしょ」
そう言ったのは琴乃だった
目の前には高く炎があがり、所々屋根が落ちている住み慣れた屋敷
門の外のこちらにまで熱い熱が伝わってくる
「お父様!お母様!」
紫苑は燃え盛る炎に飛び込もうとしていた
それを琴乃の左腕が制止する