• テキストサイズ

With me

第31章 平子サンとは何を話したんスか?



後ろを向いた私の腕を掴む喜助さん

え?と振り返るとニンマリ笑った笑顔があった

目が笑ってないけど


「平子サンとは何を話したんスか?」

「あ、えっと…」

「ボクには言えないようなことっスか?」


言ってもいいかな…


「平子隊長に…」

「平子サンに?」

「…………告白されたの」

「へ?」


喜助は紫苑の腕を掴んだままフリーズする


「え?告白されたの?平子サンに?」

「うん、でも付き合って欲しいとかじゃなくて自分の気持ちスッキリさせたいだけだって」

「え、そ、それでなんて返事したんスか?」

「ごめんなさいって」


なんだぁ、と喜助は紫苑の腕を離し、胸を撫で下ろす


「ヒヤッとしましたよ…」

「ふふ、私には喜助さんしかいないから」

「ボクもっスよ」


じゃあ戻るね、と紫苑は局を後にした



まさか今更紫苑に思いを伝えるとは思わなかった

断ったとはいえ、なんとなく気になって仕方なかったボクは仕事終わりに平子サンを誘った


「珍しいなァ、喜助から誘ってくるなんて」

「えぇ、ちょっと聞きたいことがありまして」


平子は御猪口をカタンと置き、数秒の沈黙のあと口を開いた


「紫苑のことか」

「別に責めたい訳じゃないんスけど」

「当たり前や、気持ち伝えるくらい俺の勝手やろ」

「やっぱり伝えたんスね」


酒をついだ平子は一気にそれを流し込む


「紫苑に好きや言うたんは事実や」

「またどうして今」

「お前に敵わん思たからや」

「はい?」

「ホンマはもうちょい前から思うとった。紫苑のこと諦めなアカンて」


頬杖をついて遠くを見つめる平子


「そりゃ紫苑のことはホンマに好きやったし、喜助から奪ってやる思うとったわ」


喜助はそれを黙って聞く


「でも喜助の話しするとすぐ赤くなる紫苑、必要とされてるお前、二人の幸せそうな顔見とったら、俺が紫苑のこと好きで居るんは、紫苑困らせるだけやと思った」

「照れるじゃないっスか」

/ 761ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp