第31章 平子サンとは何を話したんスか?
キョトン顔も可愛いっスね…
じゃなくて…
"しつこい男は好かれんぞぅ"
夜一の言葉がループする
「夜一さんが、発信器つけられないように気を付けろって」
「やっぱりっスか」
紫苑は知らなくていいことっスよって、後ろを向いて呟いた
「発信器って、つけた人の居る場所が分かるってことだよね?」
「そっスけど…」
「じゃあ私につけて」
「…………はい?」
喜助は目を見開いて紫苑を見つめた
「何言ってんスか?」
「だから、私に発信器つけて?あ、あと喜助さんの呼び出し機能もね」
「ちょ、待ってくださいよ」
話の展開についていけず、喜助は少し大きな声を出す
「発信器つけるってことは、どこにいても居場所がわかってしまうんスよ?嫌でしょ?そんな束縛みたいなこと…耐えられますか?」
「嫌じゃないよ?」
「なんで…」
「だって、私の居場所が分かれば喜助さんは安心できるし、束縛だなんて思わないけどな…むしろ愛を感じるけど」
まさか紫苑から発信器をつけてほしいなんて、言われると思ってなかった
夜一サンの言う通り嫌われる可能性は充分にあると思っていた
本当に…いいのだろうか
「あ、でもひとつだけ条件」
「…なんスか?」
「喜助さんにもつけて欲しいな」
「え、ボクっスか?」
だって…と視線を逸らす紫苑
「私も安心したいから…喜助さん基本霊圧閉じてるから探ったって全然分からないし…」
そんなこと思ってたんスか…
「あ、でも私は良くてもやっぱ喜助さんはつけるの嫌だよね…私に知られたくない場所に居たり…そういうの…あるよ、ね…」
自分で言って、自分で悲しくなってきた
わー何言ってんだ私…
やっぱり喜助さんにつけるのはやめとこうかな
「何勝手に自爆してんスか」
うるうると水分を蓄えていく瞳
落ちる寸前だった涙を喜助の指が拭う
「全然いいっスよ、それで紫苑が安心できるなら」
「え、いいの?」
「紫苑こそ、変なところ行ったらすぐわかりますからね」
「い、行かないもん!」
クスクスと喜助さんは笑って、じゃあ作っておくねと言って、私はその場を後にしようとした
「ところで」