第31章 平子サンとは何を話したんスか?
そんなのボクには、耐えられない…
喜助はあきらめてその場に留まった
「夜一サン、やっぱりボク最近おかしいっスよね…」
「まぁ、大分紫苑にご執心じゃの」
「紫苑のことが気になって、心配で仕方ないんス…。今どこに居て、誰と居て、何をしているか…頭の中そればっかりで」
「まさか紫苑に発信器でもつけようと思うてはいまいな…」
「…………………………やだなァ夜一サン」
「大分間があったの」
此奴図星じゃの…
夜一がなんとか発信器を阻止する方法を考えていると、向こうから走ってくる人影が居た
「はぁ……はぁ…喜助さん!遅くなってごめんなさい」
「紫苑!」
喜助は一目散に駆け寄り紫苑を抱き締める
「心配したんスよもぅ…そんなに走って大丈夫?」
安心したようにため息をつく喜助が、紫苑はどうしようもなく可愛く思えた
「ごめんね、リサさんとましろちゃんに捕まっちゃって」
「あれ、平子サンじゃないんスか?」
「あ、うん、平子隊長ともお話したんだけど、その後で」
「へぇ、何を話したんスか?」
「あ、えっと…」
言いにくそうにしている紫苑に気付いた夜一は、助け船を出した
「紫苑、丁度よかった、儂の散歩に付き合ってくれんかの」
「夜一さん!いらしてたんですね!」
夜一に敵意の視線を向ける喜助
「ちょっとちょっと夜一サン、ボクやっと紫苑と感動の再会したばかりなんスよ?」
「なぁにが感動の再会じゃ。たったの小1時間じゃろ。じゃあの」
「あ、ちょっと夜一サン!」
「追いかけてきたら紫苑に嫌われるぞ」
ニヤリと笑って紫苑を抱えて瞬歩でその場を去った
「夜一サン……!」
まぁ夜一サンと一緒なら安心か…
喜助は諦めたように仕事に取りかかった
…─
「ここまで来れば良いじゃろ」
「さすが瞬神ですね!早いっ」
「よせ、照れるじゃろ」
二番隊の隊舎の屋根に二人は来ていた
でも大分遠くまで来ちゃったな
「安心せぇ、帰りは送ってやるからの」
「え、ありがとうございます」
「それで、平子と何かあったのか?」
「……」
紫苑は少し、戸惑いを見せた