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With me

第27章 私、いつから…



心臓の脈がいつもより強いみたい

なんでだろ

久しぶりに、胸が苦しいの

平子隊長と東園寺さんが一緒に居るところを見てから


「どうして…」


どうしてこんな気持ちになるの

会話までちゃんと聞こえてた

紫苑を諦めるって聞いて、どうして嬉しいの?

東園寺さんに優しくしてると、どうして苦しいの?

東園寺さんに触れているのが、どうして嫌なの?


「私、いつから…」


次々と頭に平子隊長の顔が浮かぶ

今まで紫苑に対する好意を見たって、なんとも思わなかったのに…

琴乃はぐちゃぐちゃになった頭をすっきりさせたくて、走り出した





…─





「…サン、琴乃サン」

「……」

「琴乃サンってば」

「え、あ…すみません!なんでしょうか?」


何度も名前を呼ばれていたんだろう

浦原隊長は笑いながらも少し困った顔をしていた


「平子サン、来てますよ?」

「平子隊長?……あ」


早よせぇ、と聞こえてきそうな顔で、琴乃を見ながら柱に寄りかかっている平子

席を立とうとすると、彼に駆け寄る女性


「平子隊長、この間はありがとうございました!」


この間、とは…この間だろう…

上げた腰をまたおろした


「今日平子隊長とご飯だっけ?」


隣から紫苑が声をかけてくる


「うん…そうなんだけど」


あれから時々、お弁当を作っているお礼に、たまにご飯を奢ってもらったりしていた

そして今日がその日で、平子隊長がごはんに連れてってくれる約束をしていた


「乗り気じゃないの?」

「そういう訳じゃ…」


楽しみだった

正直、凄く楽しみだった


「あの子いつの間に平子隊長と仲良くなったの?」

「…知らないよ」

「なにイライラしてるの?」


だけどあの2人が一緒に居るところを見てから、未だに胸が苦しい

今だって、2人を気にしている自分が居る

平子隊長と、上手く話せる自信がない…


「いつまで待たせんねん、コラ」

「いたっ」


琴乃の頭をコツンとつついた平子は、どうやら凛音との会話は終わったらしい


「早よ行くで」

「あ、ちょっと…」

「なんやねん」


いつもちゃんと目を見て話す奴やのに、珍しく下を向いていた

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