第27章 私、いつから…
「喜助は別に、仲良いとかそんなんちゃうで…紫苑は…」
物憂げな表情の平子に、凛音は思わず言葉が出た
「もしかして西園寺さんのこと、好き…とか?」
「なっ…」
図星みたいだ
目が泳いで分かりやすい
「いいんですかっ?このままで。浦原隊長に取られたままでいいんですか?私と一緒に頑張りましょうよっ」
一瞬びっくりした平子は、すぐに冷静になって勢い余って距離が近くなった凛音の肩に手を置いた
「ちょォ落ち着きィ」
「す、すみません…っ」
平子は優しく微笑むと、手を離した
「紫苑のことやけどな…」
壁に寄りかかり腕を組んで、俯く平子
「諦めよ思てんねん」
「え?どうしてですか?」
凛音は目を丸くして平子を見つめた
「アイツら想い合ってんのに、俺がいつまでも好きでおったら…迷惑やろ?」
凛音はドキッとして、胸が震えた
「それに俺は、紫苑ンこと幸せにできんと思う…多分相性悪いんやと思う」
辛そうに笑う平子
「やっぱり…迷惑なんですかね…っ」
その震える声に平子は驚いた
唇を噛み締めて、瞳をうるっとさせていた
「ちょ、泣かんでも…」
「本当は自分でも分かってるんです…私の気持ちは、浦原隊長にとっても、西園寺さんにとっても…迷惑だってこと…」
惣右介の言うことを聞いといて良かった
こないなところ誰かに見られたら、どんな噂をたてられるか…
「でも、諦められなくて…」
「気持ちは分からんでもないで」
「…取り乱してすみませんでした。私、もう少しだけ頑張ってみようと思いますっ」
「そか…」
平子は凛音の頭にポンと手をおいた
「応援はできんけど、辛なったら話くらい聞いたるで」
そのまま平子は凛音に背を向けて、歩きだした
「ありがとうございます!」
凛音はもう一度涙を拭って、平子とは反対の方に歩きだした