第25章 あの子ばっかり…
「隊長は、どんな食べ物が好きなんですか?」
「んーそっスねぇ。羊羹とか好きっスよ」
「私も好きです!嬉しい、一緒ですね。今度作ってきますね!」
と、十二番隊舎に珍しい客が1人
「浦原くんいるかい?」
「おや、珍しいっスね。京楽隊長」
「こんにちは」
「あぁ、こんにちは」
ニコっと挨拶をする彼女に京楽も思わずニッコリする
「どしたんスか?」
「君の彼女の紫苑ちゃんなんだけどね」
「なにかあったんスかっ?」
彼女の名前を聞いただけで焦って取り乱す隊長を見て、ぎゅうっとなる胸を握りしめる
「いやぁ、言わなくていいって言われたんだけどさ」
「なんスか?」
「書類を届けに来たんだけどね、僕の煙管で咳き込んじゃって…これから定期検査の予定だったっていうから、今リサちゃんが付いて四番隊に…」
ガタッと立ち上がった喜助の腕を凛音が掴む
「私も行きますっ」
「えっ」
「西園寺さんが心配なんです…」
あんなことをしておいて
心にもないことを…
「有難いっスけど、東園寺サンは自分の仕事に戻って…」
一瞬で目の前から消えた彼女は、数歩先に立っていて、今にも歩き出す勢いだった
「ほら隊長行きますよー!」
困った…
無理矢理にでも付いてくる気だ
「京楽隊長、有難うございました」
「いや、此方こそ悪かったね」
軽く会釈をして、彼女の後を追う
紫苑が彼女に、見舞いに来て欲しい…訳がない…
さて、どうしましょうか…
…─
「リサさんありがとう、もう大丈夫」
「ほんまに浦原さんに言わんでええんか?」
「いいんです、そんな大したことじゃないし」
実際すぐに外に出たからそんなにひどくはならなかったし、きっと彼は忙しいだろうし…
「私がついてるので大丈夫ですよ」
「じゃあ悪いけど帰んで、大人しくしときや」
「ありがとうございます」
リサさんと別れると、少しため息をついた
「ねぇ、勇音さんは彼氏とかいないの?」
「えぇ!いませんよ、どうしたんですか急に」
「なんでもない」
「浦原隊長と何かありました?」
「何もないよ」
何も……ね