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With me

第25章 あの子ばっかり…



第25章 あの子ばっかり…




「……はぁ」


紫苑の目線の先には…


「隊長、お茶は濃いのと薄いのどっちが好きですか?」

「隊長、熱いので気をつけてくださいね」


気づいたらあの2人は、最近いつも一緒にいる…


…私はというと、最近喜助さんとあんまり話してない気がする

話しかけようと思うとあの子がいつも隣に居て、それを邪魔する勇気もない私は、此処で悶々としている

家にもなかなか帰ってこない

喜助さんが足りない

同じ隊に居るのにどうしてこうも話す時間がないのか

あの子ばっかり…


「泣きそうな顔してるよ」

「えっ」

「大丈夫。隊長の彼女は、紫苑なんだから」

「うん…」


紫苑の心情を察して、親友は肩にぽんと手を置いた


「それより紫苑、今日定期検査の日じゃなかったっけ?」

「あ、忘れてた」

「はよ行ってき。ついでにこれ配ってきたってや」


机に広げていた書類をまとめて、ひよ里から書類を受け取って席をたつ

開きっぱなしの隊首室の奥で楽しそうに、時々顔を赤らめて微笑む彼女を横目に隊舎を出た



八番隊舎に入ると喉元に感じる違和感


「紫苑、久しぶりやな!」

「リサさん!お疲れ様です。書類届けにきました」

「京楽隊長、中に居んで」


隊首室に近づくと詰まるような感覚を覚える


「やぁ君が噂の浦原くんの彼女かい?」

「十二席の、西園寺紫苑です……ケホッ」

「いやぁこんなべっぴんさんだとは思わなかったよ…って風邪かい?」

「あ、いえ…」


その様子を見ていたリサが紫苑の元に駆け寄る


「アカン、京楽隊長、この子喘息なんや」

「えぇ?あ、もしかして僕の煙管?」

「ゲホ…ゲホッ……ッ」


慌てて煙管を始末するも遅く、紫苑は咳き込んでいた


「紫苑、とりあえず外行こか」


リサさんに連れ出してもらい、携帯していた吸入薬でいくらか楽になった


「知らなかったとはいえごめんねぇ」

「紫苑、四番隊行くか?」

「…はい。丁度定期検査に行くところだったので…」

「連れてったる」

「僕から浦原くんに伝えておくよ」

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