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With me

第24章 私の喜助さんに触らないで



「喜助さんに、あの子のことを、考えて欲しくなくて…」


喜助は優しく紫苑の頭を撫でる


「大丈夫だから、安心して」

「うん。ありがと」


私にも見せて

と紫苑は監視映像を再生してもらった


「どうします?この2人」

「なにもしなくていいよ」

「なんで?昨日はあんなに怒ってたじゃん」


伝令神機を握りつぶすほど、怒りにまみれていたのに


「時間が経って、大分落ち着いたの」

「紫苑、無理しなくていいんスよ?」

「してないよ。ただ、争い事やいざこざはなるべく避けたいの」


もしかして、沙也加サンのことを思い出しているんだろうか…

死にかけたんだ

またそんなことになるかもしれないと、思ってしまうのは自然かもしれない


「紫苑がいいなら…」

「うん。ありがとう、わたしの為に」

「でも、また同じようなことがあったら、その時ボクは黙って居られないかもしれない」

「私もっ」


俺も…

と小さく言った阿近の声もしっかりと聞こえた

紫苑は小さく笑った


「今日はもう、帰りましょうか」

「いいの?まだお昼前だよ?」

「うん。琴乃サンも阿近サンも、今日はもういいっスよ」


どうせ隊長が、紫苑と一緒に居たいだけなんだろうな


「ラッキー!お疲れ様でしたぁ」


足早に駆けていく琴乃に驚きクスクスと笑う

その日、喜助は気が済むまで紫苑の傍にいた





…─





「おはようございます、西園寺さん」

「おはよう、東園寺さん」


爽やかな朝に似合わない凛音の内心

そして張り付いたような笑みの紫苑


「昨日帰られたんですよね?お疲れ様でしたっ。どうでしたか?」

「うん、順調だったよ。あっけなくて、拍子抜け」


何で…全然動揺してないじゃん…

写真見てないのかな…


「それじゃあね」


凛音の横を通りすぎる時


「あ、そういえば…」


わざとらしく思い出したように立ち止まった


「見たよ」

「えっ?」


ドキッとした

だって西園寺さんは…


「あなたも喜助さんが好きなんだもんね。近くに居たら、触れたくなる気持ち分かるよ」



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