第24章 私の喜助さんに触らないで
「今更隠しても無駄だろ」
画面を隠すように立つ琴乃
だけどその前にもう、喜助はしっかりと写真を目に焼き付けていた
「それ、壊れてるの紫苑のやつっスよね」
さすが隊長だ
伝令神機なんて、どれも見た目はほとんど変わらないのになんで分かったんだろう
「紫苑のは、ボクが特別に作ったやつっスから」
隊長の特別はなんだか、怖い
ゆっくりと2人に近づくと、喜助は伝令神機を手に取り、裏のカバーを外して小さな部品を取り出した
「隊長、何ですかそれ」
「この伝令神機の記録装置っス。そもそものやつとは別に用意していて、強力な保護素材を使ってまして…」
こんなときのために
「まぁ技術開発局では死神たちの全ての通信関係のデータを監視しているので、そっちでも調べられるんスけど…」
こっちのほうが手っ取り早いんでね
と、小さな部品をヒラヒラと見せびらかしてきた
そしてその部品をパソコンに接続すると、阿近があれだけ時間をかけたデータが一瞬で表示された
「なんつーことしてんだよ…局長」
「あ、紫苑のだけっスよ?本人には伝えてないんスけど…」
紫苑、ここにれっきとしたストーカーが居るよ…
「それで?この写真が紫苑に送られてきたと?」
「はい…」
写っているのはボクと東園寺サン
ボクにこのことの記憶がないことからして、寝ている間の行為だろう
「それで紫苑、触らないでって言ってたんスね」
「紫苑が…」
「まぁ、半分寝言っスけど…本心でしょう」
喜助は阿近に席を変わってもらい、カチャカチャとキーボードを叩く
するするとデータが表示されて、送信元の候補が浮かび上がる
それをいくつかの手間で順に消去していく
「やっぱ隊長って凄いね」
「俺もまだまだだな…」
「敵に回したら絶対ヤバいよね」
後ろで話す2人の小さな会話を聞き流し、ものの数分で目的のものに辿りついたらしい
「送られたのはNo.8642のパソコンからっス。そしてこれが監視カメラの映像…」
「監視カメラなんてあったんですか?ウチは基本全部録霊蟲じゃ?」
元々技局には監視用の録霊蟲がいる
監視カメラなんて初めて聞いた