第24章 私の喜助さんに触らないで
「ひよ里サン…これはいえ、その…」
「あの、私が勝手に抱きついたんです!」
漸く喜助から離れた凛音は、ひよ里に弁明する
「隊長は悪くないんですっ。だから、西園寺さんにはこのこと…言わないで貰えませんか?」
「そういう問題ちゃうやろ?」
ひよ里からは、いつもの喜助に対する苛つきや怒りとはまた違った感情が滲み出ていた
「お前な、喜助のこと好きになるんは勝手やけどな…!紫苑のこと傷つけたら許さへんからな…!」
「ひよ里サン…」
「でも、でも私だって隊長のことが…!」
「でもやない!お前自分が紫苑の立場になってみぃ!それでも…!」
「ひよ里サン、あの、ちょっと落ち着きましょうか」
「大体喜助はなんでそんなに落ち着いてんねん!コイツのせいで紫苑傷ついてるかもしれんねんで!あ、ちょ…待てや!最後まで言わせろや…!コラァ!」
ひよ里は喜助の指示で何人かの死神に連れていかれた
「大丈夫っスか?東園寺サン?」
「隊長…私の気持ちって…迷惑ですか?」
「え?」
俯いて泣きそうな顔をした彼女
うーん困った
「迷惑ではないっスよ。気持ちは嬉しいっス。ありがとう。だけど…「本当ですかっ?」」
迷惑ではないと言われて余程嬉しかったのか、彼女はすっかり涙を引かせていつものふわりとした笑顔に戻った
「良かった…あの、私!自信が持てたら、ちゃんと隊長に想いを伝えます!それまで待っていてください!」
一番大事なことを言いそびれた
変に期待を持たせてしまっただろうか…
「はっきりさせておかないと、後々面倒なことになるヨ。全くバカだネ」
マユリの言葉がチクッと胸に刺さる
ボクが大切にできるのは、1人だけなんスよ…
…─
隊舎に戻ると全員報告書の作成を始めた
喜助さんは、研究が煮詰まっているらしい
臨時で集められた人達や、マユリさんや阿近もまだ離れられないらしい
そう、多分…彼女も…
思い出したら頭が痛くなってきた…
昨日眠れなかったこともあって、調子が出ない
「気分悪…」
あの写真を送ってきたのは誰か
写真に東園寺さんが写っていたから、写真を撮ったのは彼女ではないはず…