第24章 私の喜助さんに触らないで
送信先を見るとデタラメな使い捨てのものの様だった
「紫苑、きっとこれは何かの間違い…」
ふるふると震える紫苑の手は、伝令神機をバキッと握りつぶした
「ちょ、紫苑?」
力強っ
紫苑がこんなにも怒りを露にするのは珍しかった
…─
眠れなかった…
瞼の裏にあの写真が焼き付いて
喜助さんは多分眠っていただけだろうから、不可抗力だと思うけど…いや、思いたい
でも嫌だ…
私の…私の喜助さんに触らないで欲しい
「はぁ…」
朝日が目にしみる
早く会いたい…
…─
「夜中からソワソワしていて気味が悪いネ」
マユリは目の前で作業をしながらも、時計を確認したり、いつもより右往左往する回数が多い喜助を細い目で見ていた
「だって今日紫苑が帰ってくるんスよ?これがソワソワせずに居られますかっ?」
「無駄な動きをするくらいならさっさと終わらせ給えヨ」
「ねぇ涅サン、紫苑が帰ってきたら少し休憩しません?」
「いい加減公私混同するのを控え給えヨ。休憩できる状況だと思うかネ?」
はぁ…とため息を吐いた喜助
あぁ紫苑が帰ってきたら、先ず抱き締めて、会いたかったと伝えて、キスをして、舌を絡ませて、服を脱がせ……
「隊長っ、お顔汚れてますよ」
凛音が薬品で汚れた喜助の顔を拭く
「あ、どうもっス…」
顔近…
それにわざとか、胸も少し当たってるんスけど
「きゃっ」
その時凛音の後ろを通った隊員が、凛音にぶつかり、凛音は喜助に倒れこむように抱きついた
「っと…大丈夫っスか?」
初めてしっかりと感じる隊長の温もり
匂い、体温…
凛音の胸はドキドキと脈を打っていた
凛音はぎゅっと喜助に抱きついた
「ちょ、東園寺サン?」
「私…あの…」
「離れて…貰えませんか?」
「待ってください…!もう少しだけ…」
女性を手荒に突き放せるほど心は冷たくないが…困った
「紫苑に怒られるぞ」
マユリの捨て台詞に、喜助はいよいよ凛音を自分から離そうとした
「あの、私っ…隊長のことが……す「喜助ー討伐隊これから戻るっ……て、何しとんや」」