第24章 私の喜助さんに触らないで
第24章 私の喜助さんに触らないで
「隊長っ、他に何かお手伝いすることありますか?」
「隊長っ、これやっておきますね」
「倉庫暗いので、一緒に来てもらってもいいですか?」
凛音の行動は誰が見てもわかるくらい、喜助への気持ちが溢れていた
「隊長……あ、眠っちゃってる…」
机に突っ伏して寝ている喜助
しばらく見つめていた凛音は少しだけ口角を上げた
…─
「はぁ…」
「ため息吐くと幸せが逃げるよ」
「うん」
紫苑がため息を吐く理由はわかる
寂しさと、不安と、心配
さっきから伝令神機を握りしめて、連絡が来るのを待っている
今日は最終日の夜
任務は至って順調で、紫苑のもとには毎晩恋人からの連絡がきていた
今日はいつもより少しおくれているみたいだけど、きっとそろそろ…
「きたっ」
嬉しそうに外にかけていく紫苑
声だけでわかる表情
なんだか羨ましい…
電話を終えた紫苑は満足そうな顔で戻ってくる
「おかえり」
「ただいま」
ご機嫌な紫苑の話に、琴乃はしばらく付き合うことにした
「はぁ…いいよなぁ西園寺」
「お前、そういう目で見てると隊長に殺されるぞ」
「そうだけどさぁ…何かの間違いで俺と付き合ってくれたりしねぇかなぁ…そういう世界線ねぇかなぁ」
視線の先で談笑する2人を見ながら、男性隊員たちは欲望を細々と口に出していた
ふと、伝令神機をチェックする紫苑の動きが止まった
「何…これ…」
「どうしたの?」
画面を見て固まる紫苑
琴乃は横からそれを覗く
「え…?」
紫苑に届いた電子書簡には、2枚の写真が添付されていた
1枚は机で寄り添い合うように、頭をくっつけて寝ている喜助と凛音
もう1枚は、喜助の頬にキスをしている凛音の写真だった
「誰が送ってきたの、こんなの!」