第23章 私、諦めませんから…!
「どうしたんですか?」
「メンバーに男も居るんや。寝るところは男女別にするみたいやけど、もし嫌やったら…」
「あ、そっか…」
紫苑は少し考え込む
確かに男の人と3日間過ごすのは嫌だけど、そんな理由でこれからも任務を断り続けるわけにもいかない…
「紫苑、私がついてるから一緒に行こう?」
「うん、そうだね」
心強い味方に紫苑は安堵した
「あーいた紫苑」
「阿近、お疲れ様。どうしたの?」
「局長に臨時の研究員4、5人集めてこいって言われたんだけど、紫苑やらないか?」
「臨時の研究員?」
阿近は紫苑だけに事の詳細を書いた書類を見せた
「明日から4日間。局長と一緒だから紫苑やりたいかと思って」
「チビっ子のくせに気が利くじゃない、阿近」
阿近は頭を撫でる琴乃の手を軽く払いのけた
「やりたいなぁ…。けど、明日から3日間任務で流魂街に行くから…」
「残念やったな、阿近」
「悪いけど、他あたってくれる?」
琴乃がコソッと阿近の耳元で囁く
「本当は阿近が紫苑と一緒に居たかったから、声かけたんでしょ?」
「なっ…!」
頬を赤くした阿近はキッと琴乃を睨むと、琴乃は得意のニヤケ顔に舌まで出していた
「私やります!」
その声に4人は一斉に顔を向けた
「東園寺さん…」
「技術開発局って興味あります!私はまだ新入隊員だから特別な用事もないし…ね、いいですか?阿近さん」
「あ、あぁ…」
(バカ阿近…)
琴乃の心の声は隣に居たひよ里にだけ、聞こえていた
「ありがとうございますっ。私頑張りますね!」
嬉しそうに去っていく彼女の背中を、紫苑はただ見つめていた
「阿近のバカ」
「った…なんだよ琴乃」
心の中だけでは抑えきれなくなった琴乃は、思わず声が出た
「まぁしゃーないやろ。阿近は東園寺のこと知らんのやから」
「なんかあんのか、アイツ」
「ただのかませ犬よ」
「かませ犬は失礼やろ、琴乃」
「だってあの子に勝ち目なんかないじゃないですか」