第23章 私、諦めませんから…!
「喜助さん?」
適当な資料室に入ると喜助は
「会いたかった…」
ぎゅうっと力強く紫苑を抱き締めた
「私も…」
強く抱き締め返した
「はぁ…癒される…」
大好きな紫苑の匂いに頭を埋めた
「お疲れ様…」
よしよし、と優しく喜助の頭を撫でる
「あ、ちょ…喜助さん…っ」
「いいでしょ?」
「いいでしょ?って…」
「充電させて?」
「だって、ほら…」
「だって…なんスか?」
「ほら、あの子…お茶いれるって…」
「ボクが飲みたいのは紫苑がいれたお茶なんスけど」
「ひぁっ…ん…此処どこだと…っ」
「大丈夫、ちゃんと鍵閉めましたから♪」
「そういう問題じゃなくて…」
喜助の手が、唇が、紫苑を求める
まるで3日分の彼女をとりもどすように
「あ…ん…っ…喜助…さ…」
「聞こえちゃうから喋らないで」
紫苑の口を塞ぐと、声にならなかった声が甘い嬌声となって喜助を刺激する
「ちょっと、止められないかもしれない…っ」
『隊長~、浦原隊長~。お茶入りましたよ~?』
2人の動きが同時に停止する
『隊長、冷めちゃいますよ~?』
「喜助さ…ん…っ…呼んでる…よっ」
再び紫苑を求め始めた喜助
「いいじゃないスか、別に」
「でも…っ」
「行って欲しいんスか?あの子のところに…」
「それは…嫌…だけどっ…」
「そういえば前言ってたのって、彼女のことっスか?」
「う…ん…ぁっ…そうだけ…どっ」
『浦原隊長ー!一番隊の方がお探しですー!急ぎの用事だとか…。隊長ーどちらですかー?』
今度は東園寺さんとは違う声に行為を遮られた
観念した喜助はため息を吐きながら、衣服の乱れを正した
「はぁ…紫苑から離れたくない…」
名残惜しそうに口付けをすると、ドアに手をかけた
「いってらっしゃい」
喜助はふわりと手を振ると、資料室を出た