第23章 私、諦めませんから…!
「味方ってどういうこと?」
琴乃が差し出してくれたお煎餅を一口かじる
「みんな紫苑と隊長のこと応援してるの。だからあの子にあんまり隊長の居場所教えないんだよ」
「そうなの?」
「うん。だからあんなに探しまわってるんだよ」
知らなかった…
付き合いはじめてから、喜助さんのこと好きな女の子たちからの風当たりも、それなりに強かったから…
いつの間にか、応援されてたらしい
紫苑は喜助を探しまわる凛音を見つめた
「言っとくけど、変な情けとかかけようなんて思わないでよね」
「お、思ってないよ」
「少しでもチャンスあげたら、隊長持ってかれちゃうかもしれないからね」
そんなこと分かってる…
「だけど、彼女…東園寺さんの気持ちも少し分かる…。手の届かない存在だった人が、少し頑張れば触れる距離にいる…」
「優しいのね。隊長を取られてもいいなら好きにしな」
「そ、そんなんじゃないよっ」
その時研究室に籠っていた喜助さんが隊舎のほうに戻ってくるのが見えた
反射的に立ち上がった紫苑は、一時停止して再び腰を下ろした
「あちゃー、先越されたね」
目線の先には、私より先に喜助さんを見つけた彼女が居た
「お疲れ様ですっ。しばらく姿が見えませんでしたね」
「あぁ、ちょっと研究を」
「久しぶりに会えて嬉しいです!あ、お疲れですよね?お茶でもいれますねっ」
「あ、いや大丈夫っスよ」
それが聞こえたか、聞こえなかったか、給湯室に走っていく彼女
それを見つめる視線が嫌
栗色の髪がふわふわと揺れる
「あの子本当に隊長好きなのね」
「紫苑ええんか?好きにさせといて」
複雑な顔をする紫苑
その紫苑に近づく人影
「紫苑、ちょっと…」
「喜助さんお疲れ様…どうしたの?」
「いいから」
半ば無理やり紫苑の手を握って立たせた
その勢いで連れていかれる紫苑を、琴乃はひよ里と見つめていた
「あの顔は、あれですね…」
「あぁ、あれやな」
「え、なんですか?」
近くにいた隊員の疑問の声に2人は同時に答えた
「「充電」」