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With me

第23章 私、諦めませんから…!



見上げたそこには、大好きなあの人がいた


「浦原…隊長…」

「すみません、よそ見してて…立てますか?」

「は、はい」


と少し間抜けな声を出して、私はその手を握った


「あ、ありがとうございます…」


もう一度改めて隊長の顔を見ると、胸が熱くなって…


「ちょ、どうしたんスか?どこか痛い?」


気づいたら涙が頬を伝っていた

ブンブンと首を横に振る


「嬉しくて…ずっと、ずっと会いたかったんです…」

「…えっと…」

「私、東園寺凛音です。覚えてないですか?」


喜助は自分の過去を思い返した


「もしかして、錆面の…?」

「はい!あの時あなたが助けてくれてから、必死に生きて、必死に勉強して…やっとここに来れました…」

「頑張ったんスね…」


お腹が減って倒れていた彼女に食べ物を差し出した

そして、何故お腹が減るのか、どうすれば良いのか

その時、死神の道も示唆した


「隊長になられたんですね。私、配属されるまで知らなくて…同じ隊になれて凄く嬉しいです!」

「ボクも嬉しいですよ」

「あの、あの時みたいに…してもらえませんか?」

「あの時って…?」



"良く、今まで頑張りましたね"

そう言って、彼は私の頭を優しく撫でてくれた



喜助は伸ばしかけた手をすぐに引いた


「すみません…今ボクには大切にしたい人が居るんス。だから、軽率なことはできない」


凛音は唇を噛み締めた


「西園寺…さんですか…」

「はい」

「私…西園寺さんが居ても、諦めませんからっ」


そう言って凛音は喜助の元を去った

悔しかった…

きっと自分のほうが、彼女より先に出会っていたのに

あの時、私も同じく死神だったら…

違う…

死神だったらきっと、あんな形で出会ってなかった


「私のほうが、好きなのに…」


凛音の呟きは空に消えていった




…─




最近、休憩時間の度にやたらあの子が喜助さんを探している

理由は知っている

あんなことを私に堂々と言い放ったくらいだもん

喜助さんに近づく為だろう

だけど…「だけど残念、隊長は研究室に籠って3日目なのよねぇ」

「琴乃…」


相変わらず私の心を読むのがうまい


「知ってる?ウチの隊員ほとんど紫苑の味方なの」

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