第23章 私、諦めませんから…!
なんでだろう
ドキッとした
今まで喜助さんのことを好きな人のことはたくさん見てきたけど、彼女の純粋な好き、という気持ちになんだか胸がざわつく
「喜助さんと、何処かで会ったことあるのかな、あの子」
「そうみたいだね」
何人もの女性を虜にして…罪な男…
『だけど隊長彼女いるんだよ? 』
『彼女いるからさ、あんまり近づくのは良くないんじゃ…』
友達良いこと言うじゃん!
って思ってそうだなぁ紫苑…
琴乃は真剣な表情の紫苑を見て妄想を膨らませる
『やっとなの…やっと隊長の近くまで来られたの』
『凛音…』
『西園寺さんには悪いけど、私頑張りたいの。頑張って隊長に私を見てもらいたいの』
ぷるぷると震える体
本当に喜助さんを好きなんだなって、伝わってきて胸がちょっと苦しい
『だから…伝えてくるね!』
『え?誰に?』
『何を?』
急に小走りした彼女を友人たちはポカンと見つめる
『西園寺さんに私の気持ちをっ』
へ?私?
「な、なんで私なの?」
「宣戦布告でもするんじゃないの?」
後頭部で腕を組みながらニヤつく琴乃
「ど、どうしよう…」
「堂々としてればいいじゃん」
思わず物陰に隠れる紫苑
『西園寺さん何処だろう…』
会う人会う人に私の所在を聞いてまわってるらしい
そして私はなんで隠れてるんだろう
「何しとんや?紫苑」
「ひよ里さん!シーッ!」
人差し指を口元に立てて、焦ったような怒ったような口調で言う紫苑が珍しくて気になる
「隠れとんのか?ちゅーかさっき喜助が…」
「ちょ、黙ってください!」
「あ、見つけました。西園寺さんですね」
ギクッ
物陰で縮こまっている自分はなんと情けないか
「あ、えと…はじめまして…」
近くで見ると、自分とは正反対の子だった
「はじめまして。私新入隊員の東園寺凛音と言います」
思ったよりも礼儀正しい彼女に少し驚きながら、彼女を観察した
髪は栗色のロングヘアで、緩くウェーブがかったふわふわな質感
私より少し低い背
「あの、浦原隊長とお付き合いされてるって本当ですか?」