第3章 十二番隊へようこそ
「紫苑もしかして妬いてる?」
「えっ!」
「シッ!大きな声出さないの」
琴乃が声かけたくせに…
いきなり琴乃から声をかけられて、思わずらしくない声を出してしまった
まわりの死神たちは何人かこちらを見たが、幸い隊長たちには気づかれていないらしい
「急に何言うの琴乃!」
小声で琴乃にだけ聞こえる声で喋る
「大丈夫、紫苑も負けてないよ」
「な、なんの話よ…」
そのあとは琴乃は何度かニヤニヤしながらこっちを見てきた
入隊の儀が終わったあと、先輩に隊舎内を案内してもらった
その途中─
「あ、紫苑サン、琴乃サン!」
「「浦原隊長!」」
「よかったちゃんとウチにきてくれて」
「これからよろしくお願いします!」
すると喜助の後ろから沙也加がひょっこり顔を出した
「あら、この2人が浦原隊長のお気に入り?」
さっきの綺麗な人だ…
「そうっス。世話焼いてあげてくださいね」
「初めまして、一条五席!西園寺紫苑といいます」
「東雲琴乃です!」
「やぁねぇ。沙也加でいいわよ2人とも!」
やっぱり素敵な人だ…
私もあんな風になれるかな…
「ではよろしくお願いします!沙也加さん!」
「新入隊士って毎回思うけど可愛いわね~。頑張ってね」
「沙也加サンちょっと」
浦原隊長に手招きをされた沙也加さんは、じゃあまたねと言ってリン─と鈴の音を鳴らして、浦原隊長の隣を歩きはじめた
「紫苑いくよ!」
琴乃に促された私はようやく足を動かした
一通り隊舎内の案内が終わると、基本的な任務や書類の作成、整理などを教えてもらう
この日は1日説明で終わった
新入隊士たちはそれぞれ自分に与えられた自室へと戻る
空が赤くなっていて、もうすぐ陽が完全に落ちる