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With me

第22章 ちょっと心配性なんですかね



「西園寺さん、点滴外しますね」

「ありがとう、勇音さん」

「浦原隊長お迎えに来てくれるんですよね?」

「えぇ」

「それまでここ使っていていいですからね」


もう一度お礼を言うとニコッと笑って部屋を出る

部屋を出ていく勇音が、扉のところで軽く会釈をした

喜助さんが来たのだろうか

帰る支度を始めようとすると、部屋に入ってくる足音

喜助さんじゃない…


「夜一…さん」


紫苑の目が丸々っと大きく見開く


「喜助が野暮用があるから…と、頼まれての」


あぁ、と納得する


「ちと話せるかのぅ」

「はい…」


支度をやめてベッドに座り直す


「体調はもう良いのか」

「はい…」


嫌な沈黙が部屋を支配する

此処に来るまでに30分、右往左往していた

言いたいことはたくさんある

何から話せばいいかわからなくて、喉まででかかっている言葉がいつまでたっても出てこない


喉の奥がつかえる


「あの…」

「すまなかったのぅ」

「へ?」


四大貴族の当主が、一隊の隊長が私なんかのために頭を下げるなんて…そんなこと


「あの…頭をあげてください」

「酔っていたとはいえ、紫苑に不快な思いを…」

「夜一さんは何も悪くないですよ」


夜一はゆっくりと頭をあげる


「私のほうこそごめんなさい」

「紫苑こそ悪くないじゃろ…」


紫苑はベッドに座り直すと話し始めた


「私、誰かを好きになったのって、喜助さんが初めてなんです」


夜一の目がわずかに開く


「嫉妬っていう感情も初めてです」

「そうじゃったか…」

「だから、上手く感情コントロールできなくて、自分のことしか考えてなくて…夜一さんにも気を使わせてしまってごめんなさい」

「気にするでない」


紫苑はふぅと鼻をならす


「この話やめましょっか!」

「しかし…」

「夜一さんらしくないですね!私も夜一さんも良いって言ってるんだから、良いんです!分 か り ま し た ?」

「わ、わかりました」


あの時とまるで逆じゃの

いつの間にか大きくなりおって

儂の可愛い紫苑…


「っと、送ってくれるんですよね?」


そうじゃったの、と2人で病室を後にする

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