第22章 ちょっと心配性なんですかね
「紫苑の病室に居るときからね」
「儂もまだまだじゃの」
手早く洋服を着ると喜助と並んで歩く
「紫苑が心配なら入ってくればよかったのに」
「紫苑は…儂の顔見たくないじゃろ」
「珍しくネガティブっスね、夜一サンにしては」
夜一サンとの現世デート疑惑以来、2人はまともに会話していなかった
もちろん無理に仲良くしろとは言わないが、2人がまた笑い合えるようになってくれれば…とは思う
本当に夜一サンにしてはここまで考え込むのは珍しい
「嫌われてしまったかのぅ…」
「夜一サンてそんなウジウジするタイプでしたっけ?」
分かりきっていることを敢えて聞くと、これまた珍しく彼女は黙りこんでしまった
「夜一サンは紫苑のことが大好きなんスね」
「これでも一応紫苑が赤子の時から知っておるからの」
「妬けますねぇ」
余程気にしてるのか会話も途切れ途切れ
「話してみないと分からないんじゃないっスか?」
「そうじゃが…」
喜助は小さなため息を吐く
「…ボクちょっと野暮用思い出したので、代わりに紫苑の迎え行ってもらえます?」
「は?何をいきなり…」
「あと30分くらいで点滴終わると思うんで」
「ちょ、喜助!」
「じゃあ宜しくお願いしますね」
にんまり笑うと瞬歩でその場を立ち去る
居なくなった彼に伸ばした手は空を掴んだ
…─
十二番隊─
「喜助!紫苑大丈夫やったか?」
「はい、点滴が効いて落ち着いたみたいっス。隊のことありがとうございました」
「言っとくけどな、喜助のためとちゃうで!紫苑のためやからな!」
「頼りにしてますよ」
隊首室に入りとりあえず腰をかけると、コンコンとノックが響く
「隊長、あの…」
「あぁ琴乃サン、紫苑落ち着きましたよ」
その言葉を聞いてほっと息を吐く琴乃
「あの、私様子見に行っていいですか?」
「それは遠慮しといてくれますか?夜一サンに迎えお願いしたんで」
「それって…」
どういう意味…と言い掛け口を閉ざした
あぁ成る程…と目で語ると、そういうことっスと目で返ってきた
「紫苑が元気になったならそれで」