第22章 ちょっと心配性なんですかね
そう言うとボクの手をもう一度きゅっと握り、不器用に笑った
そして安心したように目を閉じた
「隊長…紫苑は」
「琴乃サン…今は薬が切れるのを待つしかないっス」
「凄く辛そう…」
「ボク付いててあげたいので、ひよ里サンに伝えてもらっていいっスか?」
琴乃は頷くとひよ里の元へ向かった
寝ている間も汗は出続け、息は荒い…
脱水症状が心配だ
けど紫苑の様子を見ているととても水分を取れるとは思えない
四番隊で点滴だけでもしてもらったほうが良いかもしれない
「喜助、紫苑どうや…」
「ひよ里サン、紫苑四番隊に連れていきます」
「分かった…こっちは任しとき」
…─
四番隊で点滴を繋がれた紫苑
移動したというのに全く起きなかった
いくらか汗が引いただろうか…
いつの間にかボクは紫苑の手を握りながら布団に頭を預け、眠りについていた
…─
眠りから起きると最初に目に入ったのは、もう見慣れた景色、同じ病室、点滴だった
左手に僅かな重みを感じて視線を送ると、思わず瞳が震えた
「喜助さん…」
その声に反応し、その手がピクッと動く
「ん……紫苑…起きた?」
眠い目を擦りながらでも握った手を離さないで居てくれた
「本当にずっと居てくれたの?」
「当たり前じゃないっスか。体調は?」
「うん、大分楽になったよ」
喜助は大きな息を吐き、胸を撫で下ろした
「もうボク気が気じゃなかったっスよ」
「ごめんなさい」
「紫苑は何も悪くないよ」
もう手を離していいよ、と言うと遠慮がちに名残惜しそうにその手を離した
そしたら紫苑はプイと向こうを向いてしまった
「どうしたの?」
「……喜助さんに汚いとこ見られちゃった」
「別に気にしてないっスよ?」
「嫌われちゃう…」
「嫌いになんてならないよ」
だからこっち向いて、と言うとゆっくり振り返ってありがとと小さく呟いた
「私最近寝てばかりだね」
「そっスねぇ」
いつからこんなに弱くなった?
いつからこんなに床に伏せるようになった?
強くなりたかったのに、弱くなっていく自分が情けなくて嫌になる