第22章 ちょっと心配性なんですかね
「紫苑!どないした!」
「ちょっと…熱い…」
「紫苑!」
「琴乃、とりあえず仮眠室に寝かせるで」
紫苑を仮眠室へ寝かせると、少しは落ち着いたようだ
「大丈夫か、紫苑」
「はい…大丈夫です…」
薬の副作用による発熱か…
せやかて熱すぎやろ…
「紫苑!」
勢い良く扉を開けて喜助が入ってくる
「喜助、ついててやり」
ひよ里の声に返事もせず紫苑の傍にいく
「紫苑…」
凄い汗だ…
手拭いで汗を拭う
額に貼り付いた髪をよける
「喜助さん…」
荒い息づかい、上下する肩…
「紫苑、発熱以外に何か症状ある?」
「吐き……そ……っ」
上半身を起こした紫苑に急いで桶を差し出す
ボクは紫苑の背中をさするしかできなかった
再び横になった紫苑は先ほどよりは落ち着いているが、ぐったりとして呼吸をすることに集中している
「紫苑…」
力ない紫苑の手をぎゅっと握る
「これ、飲んで。薬の効果が切れるのを早めるやつだから」
「う…ん」
喜助に手伝ってもらい、なんとか薬を飲んだ紫苑は、立ち上がろうとする喜助の指を掴んだ
きゅ
ボクの指を全然力の入ってない指で掴む
「……ないで…」
消えそうな声で懇願する紫苑の手をもう一度強く握る
「ここに……いて」
ほんのり潤う瞳に、胸がぎゅっと締め付けられる
「…ボクのせいで……」
ボクの作った薬が、紫苑を苦しめている…
その事実が重く心にのし掛かる
「それ以上言ったら…怒るからね…」
「…ごめん」
握った手から極端な熱が伝わってくる
「……ぅ」
口をおさえる紫苑に再び桶を出す
顔色がすごく悪い
見てられない
疲れたのか紫苑の瞼が少しずつ下がる
「少し寝たほうがいいっスよ」
それでも眠気に抵抗して何度も目を開けようとする
「きすけさ…」
「なぁに?」
「ここに…」
「いるよ。ずっと付いててあげるから」