第21章 保護者みたァやな
「なんか、こんな私のために、みんなが来てくれて…嬉しくて…」
「紫苑…」
「アンタ、ホンマえぇ子やなぁ」
「みーんな紫苑が大好きだよ!ね、浦原隊長!平子隊長!」
「もちろんっスよ」
「お、おゥ…せやな」
「みんな…ありがとう」
涙を浮かべながらも綺麗に笑うその顔に、男女関係なくドキッとしたのに当の本人は気づいていなかった
5人で楽しくお昼を囲んで、休憩も終わりの鐘が鳴り響く
「そろそろ戻らないと」
「ゆっくり休みー」
「無理したらアカンで」
「じゃあ紫苑、午後休取れたらまた来るからね」
「みんな本当にありがとう」
4人が出ていった部屋は、さっきまでの賑やかさから一変して静寂が包む
ふと、すっかり落ち着いていた涙腺が再び緩む
「風邪引いてると…心も弱っちゃうのかな」
ただのくしゃみなだけなのに…
寂しくなって、考えないようにしようと布団を深く被った
…─
午後も奇跡的に休憩が取れて、紫苑の部屋に急ぐ
さっきは2人になれなかったから、今度はいっぱい抱き締めてあげよう…
そう思って声をかけながら部屋の襖を開ける
「紫苑ー来まし…」
スー……スー……
目の先には規則正しく寝息をたてた紫苑がいた
寝ちゃったんスか、ちょっと残念
紫苑の隣に座り、頭を優しく撫でる
良くなったかは分からないけど、ひどくなってないみたいで安心した
適当に湯飲みを取りお茶を入れる
ずっと見ていても飽きない…
喜助は時間が許す限りこの場に留まっていた
んー……
紫苑が目を覚ますと外はもう日が落ちて赤くなっていた
寝ちゃってた…
もうすぐ喜助さん帰ってくるかな?
ふと机の上に目を向けると、使用済みの湯飲み
「喜助さん午後も来てくれたんだ」
それだけで心が暖かくなる
「あ、紫苑起きた?」
「喜助さん!お帰りなさい!」
太陽みたいに眩しい微笑みに思わず喜助は赤面する
「私寝ちゃってて、ごめんなさい。来てくれたんだよね?」
「謝ることじゃないっスよ。それより体調どう?」
「うん、もう平気だと思う」
「よかった。夜はボクが作るね」