第21章 保護者みたァやな
「昼間でも!私いつでもお手伝いします!」
「昼間は人手が足りてるので大丈夫ですよ」
「そんな!私もっと隊長の役に立ちたいです!隊長と居たいです!」
胸が少しざわつく
「紫苑、中ほっといて大丈夫?」
「う、うん……」
誰が聞いたってわかる、この人は喜助さんが好きなんだ…
ここでこのまま聞いてていいのか…
聞きたい気持ちと
聞きたくない気持ち
自分の中で混ざりあって扉から耳を離す
それに合わせて琴乃も扉から離れる
隊舎の外に出て喜助さんを待った
「外まで来ることないのに」
「だってあの人きっと私の顔見たくないだろうし、私もあの人の顔上手く見れないと思うから」
その時バンッと扉が勢いよく開き、あの人が駆け出していく
パッと彼女と目が合う
せっかく外まで来たのに…
咄嗟に目を反らしたけど、なんとなく泣いている…そんな気がした
「フラれたっぽいね」
ちょっと安心してる自分がいる
雨が段々強くなってきた
バシャッ─
「へ?」
「私だって隊長のこと好きなのに!なんであんたなのよ!」
カランカラン─
バケツが転がる音がして、彼女は捨て台詞を吐いて去っていった
バケツ一杯の水をかけられたんだと、漸く理解した
わざわざ水汲んだのかな…
「私まで濡れたんだけど…」
「ごめん琴乃…」
「2回も水被るなんてツいてるね、紫苑」
そこに喜助さんがお待たせと呑気にやってくる
「なんで外に…ってどうしたんスか?」
ズブ濡れの2人を見て驚きを隠せない
「隊長にフラれた腹いせじゃないですか?」
「え、スミマセン…ていうか早く乾かさないと」
「私は大丈夫なので、2人は帰ったほうがいいですよ?」
「え、でも琴乃…」
「私はちょっと被っただけだから」
琴乃の言葉に甘えて私は喜助さんと隊舎を後にした
「しっかり捕まっててね」
「え?」
喜助さんに抱えられて瞬歩で移動する
「傘要らなかったっスね」
「いきなり瞬歩使うからびっくりしちゃった…」
「早くお風呂いったほうがいいっスよ」