第21章 保護者みたァやな
「全くボクがいないと紫苑は生きていけないっスね」
「そうだね…」
「え?」
「喜助さんがいなくなったら、私…「それじゃずっと一緒に居るしかないっスね」」
その先が、なんとなく紫苑の口から聞きたくなくて、ボクは紫苑の言葉を遮った
だって想像してたよりもずっと、真剣な表情でボクをまっすぐ見てたから…
「ずっと、一緒に居てね、喜助さん」
「もちろんっスよ」
…─
食事を終え、着替えると今日はもう遅いし、このまま直帰しましょ、と言われた
「隊長がそんなことしていいの?」
「そりゃあ職権乱用っスよ」
「乱用しすぎじゃない?」
「紫苑と一緒にいるのもボクの大事な仕事っスから」
四番隊を出てもう暗くなり始めた道を歩く
ふと、喜助さんは立ち止まって私の名前を呼ぶ
あれ、と思って振り返ると大きな手を差し出された
「手繋ぎましょ」
「改まって言われると恥ずかしい…」
そっと手を近づけるとぎゅっと力強く握られる
大きな手に包み込まれて熱を発する
雲行きが怪しい
ポタッ─ポタッ─
屋根に滴が落ちる音が響く
「雨降ってきたね」
「ちょっと隊舎戻って傘取ってきますね」
隊舎に着くと紫苑はここで待ってて、と執務室で待たされる
隊首室に傘が置いてあるみたい
「紫苑!体調もう大丈夫?」
「琴乃、うん大丈夫だよ」
「よかったぁ!隊長とも仲直りした?」
「心配かけました」
ならいいけど、と小さな安堵のため息をつく
タタタタタッ─
ん?とお互いに音のするほうに目をやると、隊首室に駆けていく人の姿が見えた
思わず隊首室の扉の前で聞き耳をたてる
「隊長!今日帰られてしまうんですか?!」
上手く聞き取れないけどなんとなくわかる…
「スミマセン、頼んでおいて」
「じゃ、じゃあ明日っお手伝いさせてもらえますか?」
「暫く夜は仕事しないことにしたんスよ」
琴乃にそうなの?という顔をされる
私はわからない、という風に首を傾げる