第21章 保護者みたァやな
「大丈夫っス。紫苑のヤキモチも不安な気持ちも全部、受け止めますから」
「それ聞いて安心しました。隊長が紫苑の恋人になってくれてよかった」
「照れるじゃないっスか」
その時遠くからひよ里サンの声がする
「喜助ー!隊首会やでー!」
「じゃあ琴乃サン、これで」
…─
ただの報告ばかりの退屈な隊首会を、早く時間が過ぎればとそればかり考えている
早く紫苑に会いたい…
漸く隊首会が終わり、足早に立ち去ろうとすると呼び止められた
「浦原隊長」
「卯ノ花隊長」
「お迎えに向かわれるのでしょう?西園寺さん目が覚めましたよ」
「えぇ、すぐ向かいます」
「お願いしますね」
卯ノ花隊長と別れ、四番隊に向かおうとすると、また呼び止められた
「なんや紫苑また具合でも悪いんか?」
「えぇまぁ、ちょっと」
「保護者みたァやな喜助」
「保護者って響きも悪くないっスねぇ」
「アホ、はよ行け」
自分が呼び止めたんでしょうが、と心の中で文句を言いつつも紫苑の元へ向かう
病室の扉を開けると、中から談笑する声が聞こえる
「紫苑」
「あ、喜助さん」
「じゃあ私はこれで」
「ありがとう勇音さん」
ボクにも会釈をして彼女は、でていく
「随分仲良くなったんスね、なんの話してたんスか?」
「秘密」
「え~隠し事は無しっスよ~」
「女の子の会話なの」
「またそんな可愛いことを」
ふとベッドの脇に目をやると、夕食に変わってはいたがそれも手がつけられていないままだった
「食べてないんスか?」
「あ、うん…」
「食欲ない?」
何か言いたげに紫苑は俯く
「しょうがないっスねぇ」
驚く紫苑の横に座ると、喜助は箸でおかずをつつく
「ほら口あけて」
「い、いい!自分で食べるっ」
「だーめ。はい、アーン」
紫苑は恥ずかしさを堪えて言われるままに従う