第21章 保護者みたァやな

｢あ、あの｣


帰ろうとした喜助を呼び止める


｢はい？｣

｢こんなこと言うと、浦原隊長の負担になってしまうかもしれないんですけど…西園寺さん、ストレスで喘息症状…動悸や息切れがでることが多いみたいですので、気をつけてあげてください…｣

｢…紫苑のこと気にかけてくれてるんスね｣

｢…担当なのもありますけど、西園寺さんてなんだか放っておけなくて…｣

｢ありがとう。彼女のことよろしくお願いしますね｣






…─






隊舎に戻るといかにも怒ってますといった表情をした琴乃サンが待っていた


｢隊長、紫苑は？｣

｢あ、えっと…今寝てます｣

｢そういうこと聞いてるんじゃないんですけど｣

｢というと？｣

｢浮気したのかって聞いてるんですよ！｣


声が大きいっと琴乃サンの口を塞ぐ


｢誤解なんですって｣

｢説明してくれます？｣


琴乃サンはとりあえず納得してくれた


｢でも紫苑がこんなにヤキモチ妬きだと思わなかったなぁ｣

｢え、今までは違ったんスか？｣


ボクの知らない紫苑のこと、琴乃サンは知っている


｢違ったっていうか、あの子誰かを好きになったことがなかったんですよ｣

｢そう言えば前にそんなこと言ってましたね、紫苑。でも恋人の１人や２人居たでしょう？｣

｢２人どころじゃないですよぉ？両手じゃ足りないです｣


それはそれでちょっとショックっスけど…


｢紫苑、断れないから言われるがままに付き合って、でもやっぱり好きだと思えなくて、そのうち付き合ってる気がしないとか言われてフラれてました｣

｢そうだったんスか｣

｢今の紫苑は隊長にベタ惚れですからねー｣


ニヤッと笑う琴乃

ポッと頬が熱くなるのを自分でも感じる


｢あれ、隊長照れてるんですかぁ？｣

｢そりゃ照れますって…｣

｢好きになるの初めてだから、多分ヤキモチとかも初めてで、上手く自分の中で処理できないんだと思います｣


なんか、物凄く紫苑に会いたくなってきた…

紫苑が初めて好きになってくれたのが自分なんて、そんな嬉しいこと…