第21章 保護者みたァやな
まるで怒られて拗ねてる子供みたいな表情をする
そんな表情も可愛いなんてこの場に似合わず不謹慎なことを考えてしまった
「昨日はね、紫苑の薬作ってたら朝までかかっちゃって」
「うん」
「何人かに手伝ってもらったんスよ」
「うん」
「阿近サンと、涅サンと、それから多分紫苑の思っている子と…」
「…阿近と、マユリさん?」
やっぱり勘違いしてたんスね
「そうっスよ。2人きりだと思った?」
コクンと頷く紫苑の頭を撫でる
「だってあの子…喜助さんと朝まで一緒だったって、今日の夜も一緒だって言ってたから…」
「あの子元四番隊で薬について色々詳しそうだったんで、ちょっと手伝ってもらってたんス。今日も手伝ってもらうつもりだったんスけど…」
「……うん」
「今日はやめときます」
え?
「紫苑寂しがっちゃうし、ご飯も食べれないみたいだから…ね」
手がつけられていない食事に目をやる
それに…とまだ少し残った紫苑の目尻の涙を親指でぬぐう
「寝れなかったみたいだし」
「喜助さんのせいだもん…」
「そっスね…連絡忘れて、ごめんね」
よしよしと頭を撫でると小さく膨らむ頬が可愛い…
「喜助さん…」
「なぁに?」
「勝手に勘違いして、勝手に怒って…ごめんなさい」
「いいっスよぉ、そんなの」
抱き寄せると頭を寄せてくる
ほんと、子供みたいっスね
「喜助さん…好きだよ…大好きだよ」
「うん、ボクも大好きだよ」
「…あんまり優しくされると、甘えちゃう…」
「甘えていいんスよ」
「ありがとう……っ」
再び泣き出す紫苑
「ほんと、泣き虫なんスから」
大好きっスよ…
ひとしきりボクの胸で泣いた紫苑は寝不足もあってか、気づいたら寝息をたてていた
ゆっくりとベッドに寝かせ、キュッと手を握る
「あの…西園寺さん大丈夫ですか?」
頃合いを見計らって勇音がこそっと顔を覗かせる
「あぁ、先ほどはスミマセンでした。落ち着きました」
「西園寺さんのこと、大切にされてるんですね」
喜助は優しく笑って
「寝ちゃったんで、後で迎えにきますね」