第21章 保護者みたァやな
気づいたら朝になっていた
研究室に籠っていると、時間がたつのも忘れてしまう
それでよく帰りが朝方になって、部屋に行くと寝息をたてている紫苑を見て安心する
だけどすぐ、1人にさせてしまったこと、連絡を入れるのを忘れてしまったことを紫苑の背中に謝る
本当は昨日の夜だってすぐに帰るつもりで、だけど科学者というのはこういうとき困る
気になり出すと、気が済むまでやるところが、ボクの良くも悪くもあるところだ
結局朝方まで研究ノートとにらめっこして、ふと部屋で書きなぐったメモがヒントになるかも、と取りに行く
さすがにもう仕事に行ったっスよね
あったこのメモだ
ふと、違和感を感じた
卓袱台に置かれたままの、食事
すっかり冷えきっているが、二人分ある
紫苑、作ってくれてたんスね…
そういえばまた、連絡をするのを忘れてしまった
急に昨日帰れなかったことへの罪悪感が胸を締め付ける
二人分?ボクと、紫苑の…
まさかあの子…
ボクは部屋を飛び出していた
…─
喉が詰まって、うまく息が吸えなくて、心臓が早くなって、気づいたら四番隊にいた
「西園寺さん、大丈夫ですか?」
「勇音さん、私また…」
「ゆっくり休んでくださいね。あとお食事と、睡眠ちゃんと取らないとダメですよ」
勇音さんが部屋を出ていくのを確認すると、脇に置かれた食事を見た
…─
「ひよ里サン!紫苑は?」
「朝は見たけど、しばらく見てへんで?」
早く紫苑に謝りたい…
「紫苑なら四番隊にいますよ」
「琴乃サン、四番隊って…」
「隊長のせいですよ!」
怒って琴乃は背中を向けた
「スミマセン、四番隊に行ってきます」
…─
「あの、会いたくないと言っています」
「お願いします、緊急の伝令なんス」
「あ、ちょっ」
勇音の制止も振り切り部屋の中へ歩を進める
「紫苑…」
「…………」
「紫苑、昨日帰れなくてごめん」
「…………」
「紫苑、こっち向いて…」
「帰って…」
その声は、悲しく怒って震えていた