第20章 キミが欲しい
「今日は満月っスねぇ」
「そ、そうですね」
「狼になりそうっス」
「…そうです…ね」
食事も既に片付けられ、布団が準備された
布団が一組…
窓際から空を見上げてお茶を飲みながら言う喜助さんを、布団の傍のなんとも微妙な位置に正座しながら答える私を見てクックッと笑っている
「緊張してるの?」
カタンとお茶を置いて、近づいてくる
その時にさりげなく明かりを消す感じが、どうにも慣れてるのかなって思ってしまう
「大丈夫、ボクも緊張してるよ」
「ほんと?」
「ほら」
紫苑の頭を自分の胸元に引き寄せる
ドクドクドクドク
思ったよりも早い鼓動に紫苑は自分だけじゃないと、少しホッとする
「紫苑、キミが欲しい…」
私を離すと少し細めた目でまっすぐに見つめてくる
心臓が飛び出しそうなくらい脈打ってる
息苦しいくらいに…
「私も、喜助さんが欲しい…」
喜助さんの浴衣をきゅっと握る
優しい優しい口づけをもらいながら、私の頭を支えて布団に静かにゆっくり寝かされていく
しっかりと絡み合わない指がいやらしい
軽いキス
ちゅ、ちゅとわざとらしく鳴らす音が静かな部屋に響く
歯列をなぞり舌を少し強く押し当てると、それを受け入れるかのようにほんの少し開いたそこに、舌をねじ込んだ
「ぁ……ふぁ……」
絡み合う舌に頭が痺れる
息継ぎが上手くいかずに酸素を求め、身を捩る紫苑
ヤバいかもしれない…
チュ……クチュ……チュ……
たっぷり堪能した唇を離すと銀糸が2人を繋ぐ
小さくはぁはぁと息を整える紫苑
その勢いのまま喜助は紫苑の首筋に舌を這わせる
「ひぁ……」
それだけでピクッと体がこわばる
それと時を同じくして、喜助の左手が紫苑の膨らみに被さる
首筋から唇を離し、紫苑の顔を見る
少し荒い息づかい、高揚した頬が目に入りボクの大事なところを刺激する
また紫苑の首筋に顔を埋めると、ピクんと反応する彼女が堪らない