第20章 キミが欲しい
「じゃあボクもやめとこうかな」
「え、喜助さんは全然気にしないで飲んで!」
「お酒に自信がないわけじゃないっスけど…」
今日は大事な日だから…ね
と小さな声で言ったのはしっかりと私の耳に届いちゃって、逆上せて赤くなった頬が更に赤くなる
「さ、食べましょ」
食べきれないくらいのご馳走に酔いしれて、喜助さんと他愛もない話なんかして、平子隊長にお土産買わなきゃなんて話をして、こんなに長く喜助さんと一緒に居れたのは初めてだよ…
…─
十二番隊隊舎─
「今年も終わりますねぇ」
「せやなァ」
「ウチなんか喜助のせいで夜勤やで!やってられんわ」
「せやなァ」
「職権乱用も甚だしいわ!」
「せやなァ」
「せやなァせやなァうるさいねん!ハゲ!」
「せやなァ」
っ~……ド突いたるっ!
拳に力をいれるひよ里を琴乃がまぁまぁと抑える
「平子隊長は紫苑がいなくて寂しいんですよね!」
「紫苑と一緒に年越したかってん」
「はッ!残念やったなハゲ真子」
紫苑に会いに来た平子は、2人が一泊二日のラブラブお泊まりデートに行ったと聞いて、全ての力が抜けたように十二番隊で横たわっている
しかもそれを自分があげたものだというのを思い出して、さらに床にめり込む
「なーんであんなん渡してしもたんやろ」
「まだ言っとんのか、女々しいやっちゃな」
「私でよければ一緒に年越ししましょ♪」
「ホンマ?なら朝まで十二番隊で飲むでー!」
その瞬間ひよ里のケリがクリーンヒットする
ぐぇ!
と生々しい声が聞こえる
「楽しそうな話をしとるのぉ」
「あ、夜一さん!」
「儂らも交ぜてもらってもよいかの」
「砕蜂さんも!」
「ウチも交ぜてや!」
「あ、リサさん!いっぱい増えてきましたねー!」
1人夜勤のひよ里は
「他所でやれやー!!」
と怒鳴り散らしたものの、既に酒盛りを始めていたメンバーにはとうに聞こえていなかった
琴乃は1人夜空を見上げていた
「紫苑仲良くやってるかなぁ」
「琴乃ー!酒が足りんでー!」
「はーい!今いきますー!」
十二番隊のどんちゃん騒ぎは朝方まで続いたそう