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With me

第20章 キミが欲しい



「んぅ…」


朝から可愛いっスね…

最近は紫苑が泊まりに来たり、ボクが泊まりに行ったりしている

一緒に布団に入ることが増えた

以前は毎夜、誰かしら女の人と寝ていた

なのに、誰かと寝るのがこんなに暖かくてこんなに幸せな気持ちになるなんて分からなかった

紫苑だから…だろうけど


ちゅ


無防備な寝顔にたまらず唇を落とす

くすぐったそうにもぞもぞと身を捩る彼女

もう一度…いや、やめておこう

抑えが効かなくなる


「紫苑…」


起きて

起きてくれないと、狼になっちゃうよ…


「ん~…」

「紫苑ー」

「はっ!お、はよう…」

「お、おはよっス」


いつも寝ぼけてる紫苑が珍しくシャキッと起きた

思わずたじろぐ


「紫苑「お誕生日おめでとう!」」


ボクの言葉を遮って何を言うかと思ったら…


「ありがとう」


それだけでもう充分…

なんて言ったらウソになるんスけど


「一番におめでとうが言いたくて…っ」

「それで朝から来てくれたの?」


ほんと、可愛いことする…


「これ!ケーキ作ってきたの!」


目の前に出されたのはシンプルな箱


「ケーキ?…紫苑が作ってくれたんスか?」


ちょっと頬を赤らめてコクンと頷く紫苑に、ボクは心がすごく温かくなるのを感じた

なんならちょっと息苦しいくらいに


「今、食べてもいい?」

「え、今?だってまだ朝ごはんも…」

「これ、朝ごはんにしよ」


それ夜に食べる予定だったのに、と私の制止も聞かずに箱を開け始める


「上手っスねぇ」


王道のショートケーキのデコレーション

真っ白な生クリームに真っ赤な苺が映える


「あ、甘さ抑えておいたからっ」


はい、とケーキをすくったフォークを私に渡してくる

ん?私?

と少しだけ考えると目の前に口を開けた喜助さんがいた

こ、これは…あれだよね?


「紫苑、早く」

「え、恥ずかし…」

「お願い」


喜助さんのおねだり…も悪くないかも

紫苑は恥ずかしさを押し殺して喜助の口にケーキを運ぶ


「ん、美味しい!」

「ほんと?!よかったぁ」

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