第19章 何か欲しいものありますか?
「そうなんです。あ~寝ちゃった」
「しゃーない…浦原さんに迎え来て貰うか?」
「えーでも隊長呼んだら怒られちゃいそう」
「なに、浦原さんて怖いん?そんな風に見えへんけどなぁ」
琴乃とひよ里はお互い目を見合わせたあとにリサをみた
「あんなぁ、喜助は確かに普段ヘラヘラしとるけどな」
「紫苑のことになるとめっちゃ怖いんですよ!」
「目ェ細なって、射殺すような視線で見てくんねん!」
「しかも低ーい声で早口で捲し立ててくるんですよ!」
止まらない2人に若干押されぎみのリサ
紫苑はそんな話をしてるとも知らずに夢の中
「隊長ってもっと優しいイメージだったのに」
「鬼やで鬼」
「あ」
リサの言葉にも気づかず2人は続ける
「紫苑のことになるとヘタレやしなぁ」
「すーぐイチャイチャするし」
「誰が鬼なんスか?」
その言葉に固まる2人
後ろからはドス黒いオーラが漂ってくる
「お、おつかれさまです…隊長」
「奇遇やな喜助ェ…」
「今丁度浦原さん呼ぼう思てたとこや」
「他の隊員が教えてくれたんスよ。紫苑が飲まされてるって」
喜助は低い声で言うと、寝ている紫苑に近づき頭を撫でる
「紫苑お酒弱いんスから、あんまり飲ませないでくださいよ?」
「酒弱いの知らんとウチが飲ませたんや、ごめんやで」
「次から気をつけてくださいね」
ニッコリ笑い、紫苑を連れてお店を後にした喜助が逆に恐ろしさを増幅させる
琴乃とひよ里は冷や汗が止まらない
「浦原さん、紫苑のこと大事にしとるんやな」
「ベタ惚れや。見ててかゆなってくるわ」
そのあとも琴乃とひよ里の喜助の話は止まらず、リサはひたすら話を聞いていた
…─
そういえば紫苑が入隊した頃もこうやって送ったっスねぇ…
気になる人は誰かって話しをしてて、紫苑の布団で寝て…
あの頃から…嫌、もっと前から
ボクには紫苑しか見えてなかったよ
喜助は自分の部屋に紫苑を寝かせると、その隣に自分も横になる
片手で自分の頭を支え、あいた手で紫苑の頭を撫でる