第18章 ボクの前では我慢しないで
夜、某酒場─
「も一杯…」
「お客さん、もうやめといたほうがいいよ」
「お願い…」
「そ、そんな可愛い顔されても…」
「もう一杯だけらから…ねー」
眠れなかった紫苑は珍しく酒屋に来ていた
お酒の弱い紫苑には3杯が限界そうで、顔は火照り、ろれつも怪しくなってきた
紫苑のお願いにやられた店主はアルコール弱めのお酒を出す
「ありあとっ」
ニコッと笑う紫苑に赤面する店主
「紫苑やないか、珍しいなァ。1人か」
「ん、紫苑?」
そこに平子とひよ里が来店する
「あっち行ってくらさい。私1人で飲みたいんれす」
「酒弱いんとちゃうの?どんだけ飲んだんや」
「4杯目です。知り合いですか?後で送ってあげてくれません?」
「1人で帰れますから…うっ」
紫苑はトイレに駆け込む
「重症やな…」
「ひよ里、喜助呼んだれや」
ひよ里は、首を横に振る
「喜助は明日まで任務で現世行っとる」
「それでか…」
戻ってきた紫苑は4杯目に手をつけることなく、突っ伏した
「喜助さん…」
「アカンな、先に送ったろ」
平子とひよ里は紫苑を連れて一旦店を出る
「まだ飲みますー!」
「アホ、もう限界やって」
平子がしゃがみ、ひよ里が平子の背中に紫苑を乗せる
「やーだー!喜助さんがいいー!」
「コラ暴れんなや!落ちるで」
「うっ…」
「ちょオ待て!おろすから背中で吐くなや!」
苦しむ紫苑の背中をひよ里がさする
吐き疲れたのか大人しく平子の背中に身を預ける紫苑
なんちゅーかこのペタンて感じ…悪ないな…
「好き…」
「はァ!?今なんて?」
「アホ真子、喜助のことに決まっとるやろ」
お、おゥと平子は情けない声をだす
「好き…喜助さん」
「ハイハイ」
「寂しい…」
「そやな」
「会いたい…」
「んー」
「他の子とデートしちゃやだ…」
現世で喜助がデートでもしてる思てんやろか…
こないなかわえぇこと言われる喜助が羨ましいでホンマ
「してへんよ、きっと」
「真子、紫苑ヤバそうやでっ」
「ちょ、紫苑!一回降りよか?!」