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With me

第17章 きすけさん…いるよね?



「私も…隣に喜助さんが居てくれるだけで、幸せです」


泣きながらだけどニッコリ笑った紫苑が天使のように見えた

久しぶりに見せてくれた笑顔に、喜助の心臓がドキドキと鼓動を始める


「やっぱり紫苑は笑顔が一番っスね」

「私、そんなに笑ってなかったですか?」

「ちょっとね」


喜助は紫苑を抱き締めていた腕を緩めて、紫苑の頬に手を置く


「ねぇ、紫苑」

「はい…」

「キス…してもいい?」


真剣な、でも少し不安そうな顔の喜助を見つめる


紫苑は小さく頷く


「無理しなくていいから…怖くない?」

「怖くない…」

「嫌だったら言ってね」


少しずつお互いが近づいて、唇が触れ合う少し前に目を瞑る


私は、この人に溺れている

多分もう

喜助さんがいないと


生きていけないくらいに




…─





「お騒がせしました」


隊に復帰した私を待っていたのは


「西園寺さん、大丈夫?」

「襲われたんだって?」


紫苑は頭が真っ白になった

たくさんの隊員が、みんな

みんな

あの人に見える…っ


紫苑はうずくまり頭を押さえる


「西園寺さん大丈夫?」

「気分悪い?」


怖い怖い怖い怖い怖い

助けて…喜助さん…

その時1人の手が紫苑に触れる


「やっ…!」

「私がいるから大丈夫…」

「…琴乃?」


うずくまる私の前に立って、隊員たちと何か話している


「西園寺さん、無理しないでね」

「嫌な時は言ってね」


琴乃の話しを聞いて隊員たちが気を使ってくれる

今ほど琴乃が頼もしいと思ったことはないかも…


「琴乃…」

「べ、別にこないだのこと気にしてるわけじゃないからね!毎回男に怯えるのみてられないだけだから!」

「…ありがとう、琴乃…大好き」

「す、好き…って!そんなこと言われたって、う、嬉しくないんだからねっ!」


頬を赤く染めて紫苑の顔を見ないようにする


「ツンデレ…」

「ツンデレじゃない!」

「好きだよ」

「うるさい!」

「大好き」

「…もぅ黙ってよ!」


2人の笑い声を影から優しく見守る喜助がそこにいた

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