第17章 きすけさん…いるよね?
「なんだよ…」
静かな殺気を放ちながら十一番隊で目的の人物を見つけた喜助は、静かに歩み寄った
「言っとくけど、俺は謝らない…」
周りの隊員は隣の隊の隊長が来たことに、少し興味を持ったが目的がリョウだと知って、すぐに稽古に戻った
「別に謝らなくていいっスよ」
「…は?」
その言葉は俺を許してくれたとか、そんなんじゃない
全然殺気は収まってない
そもそも謝らなきゃいけないのは…
「謝らなきゃいけないのはボクのほうだ」
その時、初めて俺に向ける目が少し弱くなった
「謝る気になったのかよ…」
「まぁ、紫苑に怒られちゃいましたし…」
「…謝られたって、俺はお前を許せない…」
「許さなくていいっスよ」
握った拳が震える
全然気持ちは収まらない
浦原喜助の、恋人を襲ったって…全然スッキリしなかった
「あんな女やめといたら?」
「あんな女…?」
「他の男と簡単にキスするような女…」
リョウは懐から1枚の写真を取り出した
「別に無理矢理した訳じゃない」
「ボクがこんな写真で動揺するとでも?」
「お前は平気でも、彼女のほうはどうかな?お前には見せないでくれって、懇願してきたよ」
フッと笑ったリョウに、喜助は右手に持ったものを握りしめた
「壊れてしまえばいいんだ!お前たちなんか!居なくなればいいんだ!お前の恋人なんか!俺はお前を…絶対に許さな…っ」
ボフンと音がして、白い煙がリョウの顔を包んだ
意識を失ったリョウを壁に寄りかからせた
「スミマセン、ボクもアナタと同じくらいアナタのことが許せないんス。謝らなくていい、許さなくていい…それは本心っスけど」
麻美サンのことは悪いと思うようになった
でも、紫苑を傷つけたことは、絶対に許せない…
もう二度と、紫苑に近づかないように…
…─
「なぁリョウ、そういえば西園寺さんだっけ?落とせたのか?」
「浦原隊長から奪おうなんて、お前もなかなか責めるよな」
「西園寺?誰それ?」
「え?何言って…こないだまで…」
「俺には麻美しか居ないって、ずっと言ってるだろ」
「え、いや…そうだったけど」
「絶対、見つけるんだ。麻美のこと…」
どうなってるんだ?と仲間は顔を見合わせた