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With me

第16章 喜助さんに…見せないで!



「あ、風強いから扉閉めてくれる?」

「じゃあ私、これで失礼します」

「ちょっと待って。この書類、いくつか聞きたいことあるんだけど…」

「え…と」


…断ることもできず

倉庫の中のものが風で移動しはじめる

閉めない…訳にいかない


「1人で書類やるの、大変ですね…」


扉を閉めながら、書類を確認するリョウを見る


「うん。まぁでも、嫌いじゃないから。あ、ねぇここは?」

「はい、それは…」


倉庫の中は昼間なのに薄暗く、狭苦しい

風の音も段々と強くなっている気がする


「オッケー。確認しました」

「それじゃお疲れ様です」

「あ、ねぇねぇ」

「はい?」

「浦原隊長とはまだ付き合ってるの?」


どうしてそんなことを聞くんだろう


「どういう、意味ですか?」


リョウは確認した書類を、積み上げられた本の上に無造作に置いた


「前も言ったでしょ?やめておきなって」

「ご心配ありがとうございます。でも…」

「心配だよ。凄く心配。…俺、今まで浦原隊長に泣かされてきた女の子、たくさん知ってるから」


今まで一体、何人の女の人を泣かせてきたんだろう…

みんな、彼女になりたかったのかな…

けどそれは過去であって…


「西園寺さんも、すぐに捨てられちゃうんじゃないかって、心配してるんだよ」

「捨てられるなんて…」

「だって浦原隊長って、気に入って何度か抱いた子でも、ある程度満足したらポイ捨てして、すぐ次の子にいくんだよ?」


…喜助さんの、そんな話聞きたくない…


「優しいのは最初だけで、抱かなくなった女の子には興味がなくなったように、凄く冷たくなるんだって」

「…てください」

「でもあの浦原隊長が、1人の子に一途になるとは思えないし、今も何人かと関係続いてんじゃないの?」

「やめてください!」


過去の喜助さんは見ないって決めた

私を選んでくれた、これからの喜助さんを見ていようって、決めたのに

どうしてこの人は、こんなに私の心を抉ってくるの?


「西園寺さんの為に言ってあげてるんだよ…」


少し黙り込んだリョウは、哀れみのような目で紫苑を見た


「浦原隊長なんかやめてさ、俺にしなよ」

「……へ?」

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