第16章 喜助さんに…見せないで!
紫苑の震えを止めるように優しく包み込む
「普通ってなんスか…ボクは紫苑だから好きになったんスよ。どんな紫苑でも受け入れてあげる。嫌いになるわけがない…」
「こんな私でもいいんですか?」
紫苑はうるうるした目で震えた声でボクを見る
「ボクは紫苑がいいの。だから泣かないで」
「嬉し涙ですっ」
喜助は紫苑の横に座り、頭を片手で引き寄せる
「泣き虫っスね、紫苑は…」
…─
翌日─
喜助はまた四番隊に来ていた
今日は卯ノ花隊長に呼ばれてだ
恐らく紫苑の喘息についてだろう…
さすがにもう大したことない、とは思えないけど
深刻でないことを祈るしかない…
「紫苑、おはよ」
「喜助さん!おはようございます」
そのタイミングで卯ノ花が開いてる戸をノックする
「揃いましたね」
「卯ノ花隊長、紫苑は…」
卯ノ花は紫苑のベッドの横に立ち説明を始める
「西園寺さんは喘息ですが、普通の喘息ではありません」
「普通じゃない?」
「私も初めて診る喘息なので、詳しいことは分からなくて申し訳ないのですが、普通の喘息の薬は効かないみたいですね…」
紫苑はあの日飲んだ薬が全く意味がなかったことを思い出す
「今のところ西園寺さんが喘息を発症するのは現世のみです。現世に滞在できる時間は、長くて24時間だと思われます」
「24時間…それを過ぎるとどうなるんですか?」
「今回のように、呼吸困難、意識喪失、皮膚の一部が紫に変化するいわゆるチアノーゼ状態になり、そのまま処置をしなければ命を落とします」
命を落とす…
まさにそのような状態だったのを思い出した2人はゾッとする
やっぱり死んでいてもおかしくなかったんだ…
「尸魂界は現世よりはかなり空気は綺麗なので、こちらにいる限りはあまり心配はいらないでしょう…ただ、匂いや、煙、ストレスなどでも喘息症状がでたりするので気をつけてくださいね」
「紫苑は本当に現世には行けないんスか?」
「…私から1つ浦原隊長にお願いがあります」