第16章 喜助さんに…見せないで!
第16章 喜助さんに…見せないで!
「おはよっス!みなサン!」
朝から満面の笑みで挨拶する喜助
「浦原隊長すっかり元気だな」
「ついこないだまで死んだような顔してたのに」
「西園寺さんももうすぐ戻ってこれるかな?」
「じゃあボクは四番隊に行ってくるんで、あとお願いしますね!」
喜助はご機嫌に隊舎を出ていった
「隊長元気になってよかったですね、ひよ里さん」
「隊長のくせにメンタル弱すぎんねん」
「あ、そうそう平子隊長に伝えるの一番最後にしたら怒られちゃいました、アハハ」
「なんで最後にしたんや?」
「だって、平子隊長にはかわいそうだけど、2人の邪魔してほしくなかったし」
ひよ里はハハッと笑う
「真子かわいそうになァ」
「だって伝えたら飛んでいきそうでしょ?」
「それは同感や」
喜助は四番隊の紫苑の部屋についた
特別治療室から一般治療室に移り、酸素マスクも外れた
「紫苑ー来ましたよん♪」
「喜助さん!」
ベッドに腰かけていた紫苑は立ち上がり、点滴の器具をカラカラとひいて喜助に近づく
「もう歩いて平気なの?」
「はい、すっかり元気です!」
軽くギュッと抱き締めると、紫苑をもう一度ベッドに座らせた
「あの、喜助さん…」
「ん?なぁに?」
「もう、全部聞きましたよね?喘息のこと…」
あれから喘息についてはまだ触れていなかった
「はい、ボクに心配かけたくなかったっていう理由も」
紫苑は喜助を見つめる
「私、本当は嫌われるのが怖かったんです」
「え?ボクに?」
紫苑はコクンと頷く
「私、小さい頃喘息で、みんなと同じように遊べなくて、友達もみんな離れていって…」
そんなことが…
喘息で、辛い思いを…
「だから、こんな弱い私を知ったら、面倒臭くなって嫌われちゃうかなって…もしかしたら喜助さんだって、普通の子がいいって、離れていってしまうかもしれない…」
紫苑の体が少し震えている
「喜助さんに嫌われたくなかった…失いたくなかった…だから言えなくてごめんなさい…」