第15章 頭が真っ白になった
「私も四番隊に向かいます!」
「琴乃はここで休んどき」
「ごめんなさい」
「あ、ちょォ待てや!」
ひよ里が気づいたときにはもう琴乃の姿はなかった
「アホ、ウチかて紫苑のところに行きたいっちゅーねん…」
…─
四番隊─
「すぐに浄結界の準備を!集中治療室に運んでください!」
卯ノ花の声で多くの隊員たちが右往左往する
「浦原隊長!」
紫苑に付き添っていた隊員が、治療室の前に難しい顔をして立っていた
「紫苑は?!」
「これから集中治療に入るところです。意識は…ありません…」
喜助は拳を握りしめる…
「すみません!自分がついていながら!」
「頭をあげてください…何があったんですか?」
隊員は紫苑が今の状態になるまでの経緯を話した
そこに琴乃も到着する
「隊長!紫苑は?」
「今、治療が始まったばかりです…」
琴乃は治療室を見つめる
「琴乃サン、話してくれますね?」
紫苑が隊長に話すことを決めたかどうかは分からない
いつもの私だったら紫苑の意見を無視してまで、隊長に話そうとは思わなかった
でも、もうそんなこと言ってられない状況だ…
「お話します…」
紫苑、ごめんね…
「紫苑は小さい頃、喘息だったんです」
浦原隊長は黙って聞いてる
琴乃は続ける
「元々西園寺家は瀞霊廷の南にあって、そこはちょっと空気が綺麗じゃなかったんです。紫苑は慢性的に喘息で、それで空気のより綺麗な北に移ったんです」
琴乃の手は今も震えている
「北に移ってからは紫苑の喘息も殆ど症状が出なくなって、つい最近まで紫苑が喘息だったことすら忘れてました」
「どうしてまた最近になって…」
「紫苑が咳をしたのは現世に行った時だけです…多分現世の空気が悪いんだと思いますが…」