第15章 頭が真っ白になった
目の前にはぐったりとした紫苑
元々白い肌は更に真っ白になって、まるで血の気がない…
唇が紫になって…
ここまでなるなんて…
あった…
一度だけ、小さい頃…
同じように体の色がどんどん変わっていって、一時意識がなくなったことが
紫苑が死ぬかもしれない─
琴乃はそこから動けなかった
「東雲!東雲!しっかりしろ!」
怖い怖い怖い怖い
死なないで死なないで
紫苑!
「東雲!!!」
「っ!は、はい!」
「しっかりしろ!穿界門を開けるんだ!西園寺を死なせたいのか?!」
琴乃は我に返り、震える手で開錠する
「四番隊には連絡してある!おそらく待機してくれているはずだ。俺は西園寺についてるから、東雲は向こうについたら隊長に知らせるんだ」
どうしてこんなことに…
四番隊の診察では大したことなかったはず…
薬だって飲んで…
「東雲!聞こえたか?!」
「は、はい!すみません!」
「お前は隊長に伝えるんだ!わかったな」
穿界門を抜けるとそこには四番隊が待っていた
お願い…紫苑を助けて…
「東雲!隊長に伝えてくれ!」
しっかりしなきゃ…
隊長のところへ…
琴乃は瞬歩で十二番隊へと向かった
「隊長!」
琴乃は隊首室の扉を開けると同時に叫んだ
「琴乃サン、どうしたんスか?そんなに慌てて…」
すぐに何かあったのかと喜助は察する
「紫苑が…紫苑が…!!」
ハァ…ハァ…
「倒れて四番隊に…」
カラァァ────ン─────
喜助は持っていた筆を落とした
「なんスかそれ…なんの冗談ですか」
喜助の手は筆を持っていた形のままを保っている
「紫苑が…紫苑が…死んじゃうかもしれない…っ」
琴乃はその場にヘロヘロと座り込み、ずっと堪えてきた涙か溢れ出す
「喜助ェ!ぼーっとしとる場合ちゃうぞ!今四番隊からも連絡があった。集中治療に入るそうや」
喜助は額に大粒の汗をかいていた
「ひよ里サン…あと頼みます!」
「任しとき!」
喜助は四番隊に向かった