第14章 珍しいっスね、喧嘩なんて
「ひ、平子隊長!?なんでここに」
「なんでってここ五番隊のすぐ近くやけど?」
「え、あほんとだ」
四番隊の隣だから、考え事をしながら歩いてたから道を間違えてしまったようだ
「なにしとったん?こんなところで。非番みたいやけど」
「紫苑と四番隊に…あ」
「紫苑と?四番隊に?なんでや?」
琴乃は自分の発言を後悔した
「あの、このことは隊長には…!」
「はァ?隊長って喜助か?なんや言えないようなことなんか?」
しどろもどろする琴乃に、平子は若干呆れ顔
「まァええわ、そこまで言うんなら言わんといてもエェけど、お前ら喧嘩しとったんちゃうんか?」
「あ、それは大丈夫です…多分」
「多分て…」
「あ、じゃあ失礼しまーす!」
「ちょォ待てや!」
平子の制止も聞かず、琴乃は瞬歩でその場をあとにした
訳分からん、と平子は頭をかきながらため息をつく
「で、仕事ほったらかして何しとんねん」
「気付いてたんスか」
「当たり前やボケ」
そこには建物の角に身を潜めた喜助がいた
「四番隊に、なんの用だったんスかねぇ」
壁に背を預けて空を見上げる
「俺が知るわけないやろ」
「心配っスね…」
「あの時みたァな思いは絶対させんなよ」
そう言って平子は去っていった
「分かってますよ…」
喜助はしばらくその場で雲の流れをみていた